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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
追憶の書。
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異世界生活基本の「戦え」



「このランプの火を魔術で大きくして、周りの草を燃えさせて火事にします。魔術を使わなくても出来ますけど、火が上手く燃え移らなかったりすると困るので」


魔術で安全な手を使う、そして火事は出来るだけ小さく、でも魔術師達の気は引けるぐらい。ボヤ騒ぎを起こせば、公にされた命令とやらでここに来た宮廷魔術師が森で騒ぎを起こしたと宮廷内で騒がれるはず、そうなれば彼らにとっては面白くない話。


私がやったとバレたら、私も駄目かもしれないけれど。



でもきっと火を懸命に消そうとする。自分達がやった訳ではないとしても、宮廷魔術師(天才の名)の肩書きがあるのにボヤ騒ぎすら消せない、なんて噂が広まったらそれこそ、もーっと面白くないと思うし。


相手は魔術師の最高峰、ボヤ騒ぎぐらいなら魔術を使えば簡単に消せると聞いた。でも使ってる間は簡単な魔術も精神集中が必要だから、余所見をする暇なんてない。


そしてそれは私も同じ。


「でもそんな事!もし森が燃えたら...貴方のお家まで燃えてしまいます!」


お母さんが悲愴な顔で訴える。そういえばさっき少しだけ私の家の話をしたんだった、森に住んでるというと驚いた顔をされた。


「大丈夫です、私の家はここから結構離れてますし本当にほんの少しのボヤ騒ぎにしますから。それより、私が火をつけたら私は瞬間移動の魔術でお母さんと赤ちゃんを逃がします」


私はにこりと笑った。火事なんて大袈裟な事には絶対にしない、それは絶対。ただオークさんの安否を確認する時間が欲しい。


そして私と、もし生きていたらオークさんが一緒に逃げる時間も欲しい。そして瞬間移動魔術は魔力の消費が激しいから、もし私含めて四人瞬間移動させるなら、二人で一回として一回の魔術で2分か3分は欲しい。



「あ、貴方はどうするの?貴方みたいな小さな子を放ってはいけないわ!」


「私は...オークさんの安否を確認してから行きます。魔術師の気を火事で逸らして、気を取られてるうちに」


お母さんは唖然としている、きっと出来ないと思われてると思う。何もそこまでと思ってると思う、私もこんな事はやりたくない。でも黙って赤ちゃんやお母さんが殺されるのを見ている事は、それは出来ない。したくもない。


「ごめんなさい、私のワガママです。でも瞬間移動の先は安全な場所です、だから休んでてください」


(大丈夫、彼らは肩書き(宮廷魔術師)に縛られてる、プライドがある。ボヤ騒ぎすら消せないなんて自分の名誉を下げる様な真似はしない、ほんの数分でも時間を稼げれば勝ち)



そして、いつのまにか起きていた赤ちゃんが目をぱちぱちさせて笑っていた。

「あうーっ」


思わず微笑みそうになった時、ドアが強く叩かれた。

まさかのボヤ騒ぎを起こすと決めた幼女。相手の気を逸らしているうちに、お母さんと赤ちゃんを安全な所へ瞬間移動させ、それからお父さんの安否を確認、もし生きていたなら一緒に瞬間移動をして、お母さん達がいる所へ行くという計画。


時間としては、火をつけるのに1分ほど。そして気を逸らせたらすぐに瞬間移動魔術の準備にかかります。


ボヤ騒ぎは、きっと宮廷魔術師の方々がなんとかしてくれるでしょうね。


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