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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
追憶の書。
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異世界生活基本の「抗え」


「や、違いますっ!今のは」

「おいお前ら聞いたか!赤ん坊がいるそうだ、なら母親も一緒だろう、家の中を探して始末しろ!」


どうしよう、私のせいだ。


「探せ探せ!これはもう皆に公にされた命令だ、しっかり始末しておけ!」


「魔物の赤ん坊の命を奪えばきっと世界は平和になる!この世界の平和は私達の手にかけられている!」


...狂ってる。


まるで世界がフリーズしたように、私の体は硬直した。


オークだからなんて運命だなんて、馬鹿みたい。


泣きじゃくるオークの赤ちゃんが、それをあやす為に乳を飲ませるお母さんが、その隣で記事を書くお父さんの姿が脳裏をよぎった。


幸せな家族に、人もオークも関係ない。人だけが幸せでいいのだろうか、なら人の幸せのためにどれだけの命を犠牲にすればいいのだろう。



あぁもう迷ってなんていられない、家主さんごめんなさい。私が昨日家主さんに怒ったみたいに怒ってくれていいです。だから、どうか、どうか今からする事を間違い(悪い事)だとは...言わないで。



「っ、このっ!!」


私は思い切り手首を掴む魔術師の股間を蹴り上げた、男の人はここが弱いのだと前に家主さんが言っていたので、怒りに任せて思い切り蹴った。


魔術師が蹲るのを確認して暗闇の中、何度もこけそうになりながら走った。


「はぁ、っ!待って!お願い...!」


「おいっ!ガキを追え、っくそっ!」


蹲っていた魔術師の声が聞こえたが、無視してただ前に走った。洞窟の方へ行走りながら、主に洞窟の方へ向かって走っていた魔術師を追い越していく、そして避けて奥の扉を誰よりも先に叩いた。


幸い、洞窟の近くには蔦が伸びておりほとんどの魔術師が暗闇で足を取られていた。



「私っ、私です!開けてください!」

私の声が分かったのかオークのお母さんが内鍵を解いて扉を開いてくれた、そして私は慌てて扉を閉める。


もう時間はない、こうしてるうちにもう来る。


「夫は?!夫はどこに?!」

お母さんが寝ている赤ちゃんを抱きながら、私の服の袖をつかんだ。


「...ごめんなさい、でも今はやれる事をしなきゃいけません」



自分でも驚くほど冷静な声だった、お母さんは察してくれたのか、少し黙ってから静かに目を閉じた。

「あの、このランプ使いますね!」


今はお母さんと赤ちゃんの命を救いたい、でもお父さんを見捨てられない。もしかしたらまだ生きてるかもしれない、生死の確認だけでもしておきたい。


希望が捨てられない。


「そ、そのランプをどうするのですか?」



オークのお母さんが恐る恐る聞いて来た。


罪のない赤ちゃんの命を、魔物だからという理由のみで奪おうとする宮廷魔術師達。幼女はどう立ち向かうのでしょうか、そして家主は何処に?!

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