異世界生活基本の「おーくさん」
「ここ、どこだろう」
来た事もない所まで来てしまった、さすがに怒られちゃうかな、どうしよう。と蹲っていた。
あれから、私は一人家を出て来てしまった。歩きやすい靴を選んで、歩きやすい道を森の中をただただ歩いた。家主さんに何も言わずに出て来てしまった事、それを反省しながらもひたすら歩いていた。
なぜか今はあの家に居たくない、ルナさんと家主さんが楽しそうに話すのを見る度に、胸に黒い泥のような物が溜まっていく。
「あれ、こんな所に洞窟がある」
草が生い茂って見えなかった所に小さな洞窟、家主さんが屈んで入れるほどの洞窟があった。中は暗く外は岩でゴツゴツしている。そーっと真っ暗な中を見つめていると、後ろから声をかけられた。
「あのー何かご用ですか?」
「あ、ごめんなさ、えっ...?」
ビックリした、ただただビックリした。二度見してしまった、だって目の前にいるのは、私に話しかけて来たのは本で見た通りの本物。
「オークの家に何かご用でしょうか?」
そう、緑色の私より少し大きめの背のオークだった。
「え......あっ、おーくさん?」
「えぇ、オークですよ」
「オークさんってあのオークさんですか?」
「えぇ、あのオークです」
「そうですか、おーくさん...」
よく分からない会話が続く、本物のオークは本で見た通りの姿で、牙のような歯が出ており体はゴツゴツした緑色、そしてちょっと臭う。
「あの、もう宜しいですか?そろそろ帰って記事を書かないと...」
「記事?」
もしかして!と私はオークさんに駆け寄る。
「あの、しゅ、週間オーク作ってるオークさんですか?」
「えぇそうです、もしかしてご愛読頂いてる方ですか?」
大人しそうなオークさんは少し笑みを見せた、なんだ汚らわしくもないし怖くもない、心がドキドキと弾んだ。
「私じゃなくてっ、家主さんがよく読んでてっ」
「そうですか、それはどうもありがとうございます」
オークさんは嬉しそうに朗らかに笑い、私もつられて笑う。
「よければ、家によって行きますか?」
「あ、いいんですか?...」
「えぇオークの家に入るなんて自殺行為という人間もいますが、宜しければ。私達の家族は穏やかですので人に危害は加えません」
オークさんがそう言い切ってくれたお陰で何だか安心した、別に食べられるとか思ってる訳ではなかったけど、やはり街の人からはまだ恐れられている存在だからかな。
「どうぞ、大したもてなしも出来ませんが」
そして私は喜んでオークの家にお邪魔する事となった。





