異世界生活基本の「てぃーたいむ」
「なぁにこれ」
ルナさんは、居間の端っこに積み重ねていた「週間オーク」の一冊に手を伸ばした。
「あの、それ家主さんがよく読んでるやつで」
「週間オーク?...へぇ、信じられない」
私が説明するとルナさんはとても意外そうな顔をした。
信じられない?
「ありえない、お兄ちゃんそこまで落ちぶれちゃったのね。可哀想に」
「あの、ルナさん?」
「オークなんて汚らしい魔物が作った情報誌を読むなんて、昔のお兄ちゃんならあり得ないのに...」
嘲笑うようにルナさんは週間オークを見つめる、さっきとはまるで違う空気を纏っていた。眉を潜めて先ほどの笑顔などない。
「あ、あの、そういえばさっき助けて欲しいとか言ってなかったですか?」
「ん?あぁ、あれ。あんなの脅しよ、貴方人に頼られると素直に助けちゃうタイプでしょ?弱みに付け込んでごめんなさぁい、ふふっ」
笑った、何が面白いのか分からない。でもルナさんはただただ笑っている、それがどうも悔しいような悲しいような気持ちで私は立ち尽くしていた。
「あ、ねぇ、この紅茶薄くなぁい?貴方が作ったの?」
「ご、ごめんなさい...ひゃっ!」
慌ててティーカップを下げようとするが慌て過ぎたせいで、ティーカップごとガシャン、と大きな音を立てて床に落ちてしまい、紅茶が絨毯に染みてしまった。
「ちょ、やだーっ!服にかかったらどうしてくれるの?!この服ブランド物で、安くないのよ?...あら、泣いちゃう?」
「...いえ」
涙をぐっと抑えてティーカップの欠片を集める、途中手を切って少し血が出たけど、そんな事きにする余裕もなかった。
「でも、オークや家主さんのこと悪く言うのはやめてください」
「あら、そういう事言っちゃうのね。一つ教えてあげる、お兄ちゃんはねそういう言葉が一番嫌いなの」
私もルナさんもキッパリそう言って私は破片をトレーに乗せてキッチンへ運ぶ。ルナさんは居間を物色し始めた。絨毯の染み抜きはどうしよう、どうしようか、家主さんに怒れちゃうかな。
あぁ、どうしよう。
足が疲れたのか何が疲れたのか、私はゴミを拾うふりをしてキッチンでしゃがみこんでしまった。押し上げてくる涙もただ静かに流れていた。
幼女ちゃんが泣いている間、家主はのんきに魔術の練習をしています。





