異世界生活基本の「失敗」
「ここにしようか」
さっきの話があったからか家主はあまり話さない、いつもなら余計な事を沢山喋るのに。暗闇の中、街灯で照らされた所にあの青い宝石のペンダントを置いた。
「帰る時も来た時と一緒、目を閉じたらすぐに着くよ」
「はい」
幼女と家主はしゃがみ目を閉じた、屋台で買った荷物は家主が手を繋いでいる反対の手で担いでいる。
幼女は少し家主に肩を寄せた。
「帰ろうか」
「次は家の中にお願いしますね」
「行きの時は茂みの中だったもんね、分かってるよ」
そういうと家主は、幼女に目を瞑るよう促した。また青い宝石に何やらブツブツと唱えている、たぶん行きの時と同じ呪文だろう。
ほんの一瞬、目を閉じている所から光が差し込み、すぐに元の暗闇に戻った。
「っ...?」
何故か足元にチクチクした痛痒さを感じた幼女、足元が露出しているせいで、やたらとチクチクする。
数秒して家主に肩をぽんぼんと肩を叩かれて、そっと目を開けた。
「...え」
目の前の光景に呆然とする、それは家主も同じようだが家主は数秒してから事態を把握したようで、深くため息をついていた。
「きゃ、きゃあああああ!!!」
幼女は鼓膜が破れそうなほどの悲鳴をあげた、それもそのはず、2人の目の前に現れたのは巨大な異類異形の魔物。
そして周りは森、木に囲まれている。
「家主さんっ!」
「ごめん、失敗した」
「失敗って...」
幼女は怒っている事と恐怖で家主のスーツを思いっきり引っ張る、家主は何か考えながら幼女の頭を落ち着かせようと撫でているが、幼女はそれどころではない。
失敗は言葉の通り、こんな事になるなら茂みの中の方がまだ何倍も安全だった。
目の前の魔物は今にも遅いかかってきそうな雰囲気だ、暗い夜なのと木々の影のせいで姿さえよく見えない、でも大きい、そして喰われる。
幼女は察していた。
「や、ぬしさんっ...」
「大丈夫、この森は僕らの住んでる森だ。周りをよく見て」





