異世界生活基本「帰り道」
「それでたまに僕が王都に降りてくるとこうやって会うんだけど、いつも跡をつけてくるんだ。拗らせたのは僕の責任だから、どうにかしないといけないんだけど」
悩む家主を見る限り、きっとまだ何もできていないのだろう。
「戻りたくないなら仕方ないだろう」
低い声が響いたと思ったら、テーブルクロスの上に料理が並べられた。魚介のピリ辛スープやパスタ、パンにローストビーフなど沢山の料理がクロード1人の手で並べられた。
「ありがとう、クロード」
「たんと食っとけ」
そういうとクロードはキッチンの方へ去ってしまった。
「...あの、これ」
「食べようか、もう日も沈むし丁度いいよ」
そういうとさっきの面影はなくにこにこ微笑みながら、ナイフとフォークでお肉と野菜を器用にお皿に取り分け始めた。
「...はい」
「ん、これ。食べたいのあったら取るから言ってね」
幼女の分の料理を取り分けていたようで、コトンとお皿を幼女の前に置く。
「ありがとうございます、いただきます」
「どうぞ」
やがて日が沈み、次第に緩やかな時間の流れに合わせてクロードの心配りか、緩やかな曲調の音楽が流れ始めた。
ひんやりとした風が暖かいスープで火照った体を冷やしていく、そしてディナーは長く続く。
「お腹いっぱいです」
幼女は苦しそうにお腹をさする、料理は美味しくてほとんど食べ尽くされたが少しだけ残っている。というか、こんなに豪勢な料理クロードさんが1人で作ったのだろうか、食べた後にそんな疑問が頭をよぎった。
「よく食べたね、デザートはどうする?用意してくれてたみたいだけど」
「えっ?!あ、う...ていくあうとできますか?」
幼女は恐る恐る口にした、料理がこんなにも美味しかったのだし、デザートはさぞかし美味しいのだろう。
「ははっ、テイクアウトね。聞いてみるよ」
家主はナプキンで口を拭い、クロードを呼ぶ。
「もう食い終わったのか、早いな」
キッチンから姿を現したクロードは少し驚いた様子で、キッチンに聴こえていたのかテイクアウトされたデザートらしき食べ物が入った紙袋を家主に渡した、家主はそれを受け取りお金を払っている。
「おいしかったですっ」
幼女が膨れたお腹をさすりながら言うと、クロードは少し笑った。
「よし、そろそろ行こうか」
「...もう行くんですか?」
家主はキッパリそう言ってコートを着るが、幼女は椅子に座りまだ苦しそうにお腹をさする。
「別にまだいいんじゃないのか?まさか森を徒歩で下ってきた訳じゃあるまい...」
家主は幼女がお風呂に入る時間や髪を乾かす時間、寝る時間など全て逆算して、今帰らないと寝る時間が9時になって遅くなるとクロードに話す。
「...うぅ、帰ります」
「うんうん、帰ろうね」
その様子を見てよっこらせと椅子を降りる幼女、家主は満足そうに幼女にコートを着せた。
「じゃあクロード、今日はありがとう」
「あぁ、またな。気を付けて」
「ありがとうございました」
幼女がぺこっと会釈して家主と外に出る、危ないからと言う理由で手を繋がされた。
「わ、お外真っ暗ですね」
「だね。でもここは街灯が多いし、ほらお城もライトアップされてるから綺麗だよ?」
「あそこら辺は、夜になっても屋台がやってるから」
そう言われて遠くを見ると、光の塊が見える。確かに大きな城故に光っているとかなり目立つ。少し見てからトコトコと歩き出した、空は月がポツンと浮かんでいて明るい街灯があるからか、星はあまり見えない。





