異世界基本の「常識」
「もぐもぐ、ごっくん」
「......」
朝食が始まってからしばらくして、家主が口を開いた。
「おいしいー!お兄ちゃんだいすきー!」
「わぁ、お兄ちゃんってこんな美味しいご飯作れるんだぁ!だーいす、むぐっ」
その瞬間、家主の口にトマトがつっこまれる。
「...勝手に私のフリしてそういうこと言わないでください!」
「だって君が美味しいの一言もくれないから...ほら...」
そう家主の声真似、幼女の声を真似するのはさすがに大人の男には無理があったのか、少しだけ声を高くして、まるで幼女がそう言ったかのように話していた。
「いいおとなが恥ずかしくないんですか?」
家主に冷たい視線を送り、パクパクとトーストサラダ目玉焼きと口に放り込んでいく。
「...おいしいです」
「そっか、良かった」
家主はやっと満足したのか、自分の食事を再開する。だがふとした表情で、また口を開いた。
「続きはないのかい?ほら、大好きは?」
「...」
幼女は無視して食事をもぐもぐと口に運んだ。
しばらくして家主もようやく静かになった。トーストをかじりながら、「週間オーク」という人気の情報雑誌を読んでいる。
「その雑誌おもしろいですか?家主さん」
「ん?気になるかい?じゃあ、お兄さん読み聞かせしてあげよう!さぁ膝においで!」
「あ、けっこうです」
そう言って膝を差し出す家主、幼女は冷ややかに話を続けろ、と視線を送る。
「ははっ、ごめんごめん。面白いっていうか大切な情報源だよ、こういう所に住んでても外の事は知っておかないと」
こういう所というのは、この森の中の人目につかない家を指しているんだろう。
「ふぅん...でも、その雑誌オークがつくってるんじゃないんですか?」
「んーそうだよ?」
家主はにこっと優しく微笑み幼女に問いかける、幼女は少し戸惑いながらもヨーグルトを食べ終えて口を開く。





