異世界生活基本の「晩御飯」
「入って」
家主に促され古びた木造づくりの小さなお店に入る。
「わっ!」
黄色味がかった優しい照明の店内に入った途端、家主はバタンっ、と閉めた。そして汚れ一つないテーブルクロスがかかる小さなテーブルがいくつか並んだ店の奥から一人の見覚えある人が姿を現す。
その人に家主は親しく話しかける、続いて幼女も首を傾げて話かけた。
「クロード」
「...クロードさん?」
図太い喋り方と、茶髪の少し長めの髪を一つに縛りガタイのいい彼はエプロンを身にまとっていた。
「いきなり何だ、営業時間はまだだぞ」
「悪い、ちょっと匿ってほしい」
「匿うってお前、何かやらかしたのか?お嬢さん連れて」
幼女も意味がわからず家主を見つめる、よくよく家主の顔を見ると少し汗がにじみ出ていた。
「違うんだけど、誰かにつけられてる」
「えっ...」
幼女は思わず声が出る、幼女は気づきもしなかった。
「誰かまでは分からないんだけど、たぶん魔法使いか魔女かな」
クロードは呆れたように椅子に腰掛け、家主を見つめる。
「面倒だな。見てきたらどうだ?お嬢さんは俺が見ててやる、ここなら安全だ」
そういうとクロードは幼女にこちらへ来るよう手でちょいちょいと手招きした、幼女は心配そうに家主を見る。
「大丈夫、ちょっと行ってすぐ帰って来るよ」
「でも...」
言いかけた幼女だったが迷惑かもしれない、と感じて言葉を心の底に引っ込めた。
「いい子いい子」
「やめてください...」
なでなでと、こういう時にかぎって頭を撫でて来る家主になぜか少し腹が立つ、幼女は不思議な感覚に包まれていた。
「ほら、来な」
クロードの手招きに応じた幼女を見て、家主はシルクハットを脱ぎ静かに店を出た。





