異世界生活基本の「おんぶ」
「スーツ、汚れますよっ」
ぐぬぬと幼女が力を振り絞って離れるよう促す。
「ごめん、でも無事でよかった」
「もう...」
撫で撫でと幼女の頭を撫でてようやく離れた。
「じゃあ、何処か店に...ん?」
立ち上がった家主は靴に自分の頭に違和感を感じる、そういえばシルクハットがない。
「しまった、忘れてきた...」
「家主さん?忘れ物ですか?」
「ちょっとね、帽子を...」
たぶんクロードと待ち合わせをしたあのカフェだろうと記憶を辿っていく。確か、あの時椅子にシルクハットを置いて財布を取り出そうとして会計をしてそのまま店を...と思い出した所で家主は深いため息をついた。
「うーん、どうしよう。あの店か」
深い問題ないけど、シルクハットはあれ一つしかないし結構値段が張る物なので取りに行きたい、でもあのカフェはこの噴水からかなり離れている、家主は考えを巡らせた。
「取りに行くんですか?」
「でも疲れてるだろう?たぶんクロードと居た店に忘れたんだけど、あの店遠いから...」
「待ってますよ?」
幼女はふと口を挟んだ。
「いや、あんな事もあったし流石にそれは良くないかな...抱っこは嫌だろうからおんぶで手を打たないかい?」
「えぇー」
「ダメかな?」
家主は首をかしげる、幼女は嫌そうな顔からまぁ良しとしようという顔に変わった。
「...わかりました」
「よしよし、はい。じゃあ乗って」
家主がしゃがんで幼女に背を向ける。
「おぉー高いっ」
幼女は背中に乗り家主はゆっくりと腰をあげる、家主の身長が170以上と高い事もあり、幼女が見る景色は新鮮だった。





