異世界生活基本の「昔」
「おっと、そろそろかな」
「もう時間か?」
「うん、そろそろかな。じゃあ今日もありがとう、また」
僕はそいつに手を振る、そいつも手を振り返してくるが一つだけ真面目な顔をして話しかけて来た。
「お前本当にいいのか、それで」
「何がだい?」
「とぼけるな、昔のお前はもっと...」
「昔って言ったってまだ5年前だろう?」
僕がふざけて笑って見せるとソイツは、クロードは、大きく怒りの篭った声をあげた。
「もう5年だ...!」
「......」
その声に誰もが振り向く、子供も大人も屋台の定員も。
「お前の為にずっと探して来た、手段を選ぶ暇もとうに捨てた。だけど見つからない」
「分かってるよ、感謝してるクロー
「そうじゃない!」
僕の声にクロードの声が重なりかき消される、クロードが近づいて来たかと思ったらとっさに胸ぐらを掴まれた。
「おい、クロード」
「お前は記憶を無くしてからそうやってヘラヘラしてるが、お前は平気なのか?」
「...平気だよ、クロード」
名前すら覚えがない、でもきっと君と僕はとても仲が良かったんだろう。こんなにもいい友人を忘れるなんてなぁ。
「でもちょっと思う事があってね、もし記憶が戻ったらあの子の事忘れるのかな、って」
「あの子?あのガキの事か?別にいいだろ、そんなに執着してないんじゃないのか?」
ただのガキだろうし、とクロードは付け加える。力が抜けたのか胸ぐらを掴んでいた手も離れた。
まさか僕があの子に執着してるとは思わないか。
「でもほら面倒を見てるから心配というか。きっと僕は僕の記憶が戻れば宮廷へ戻るだろうし、そうなったらあの子はどうなるのかなって」
「お前は、あのガキの出所を調べるつもりはないんだろ?ただ、本人が知りたがったら手助けする。それはお前のエゴか優しさだろうが、なら同じ話だ。お前が居なくなっても何処に行こうが好きにさせればいい」
「まぁ、それもそうなんだけどね」
「昔のお前なら、そんなガキ放っておけ、餓死でも何でも勝手にさせろ。ぐらいは言ったぞ」
「えぇ、そんな事僕は言わないと思うけどなぁ」
笑っていった、けどクロードのいう事は一つも間違いはないと思う。だからきっと昔の僕はそう言うのだろう、どれだけ飢えた子供でも今にも死にそうな老人にも、病人にも動物にも。自分の興味のない事は何一つ関わらずやるべき事を最優先させる超合理的主義者らしい。
(今の僕じゃ全く想像がつかないな...)
自分の事なのにこんなにも分からない。
だいぶ長くなりましたが、さすがに長すぎましたかね。見にくかったらすみません。ブクマありがとうございます。





