異世界生活基本の「のんびり屋」
カフェを出てそいつがようやく口を開いた。
「で、その連れのガキは?」
「今はいないよ、一人で屋台見させてる」
「いくら王都といえど危ないんじゃないかな?今日はそこら中に警備兵いるがな」
「まぁ祭りだからね、大丈夫だよ。あの子しっかりしてるし非常用のアレも持たせたから」
「あれ?」
「ペンダントだよ」
首を傾げたそいつにそういうと、目を見開いた。
「お前っ、バカか?!あれはお前の...っ」
「いいんだ、僕には未来なんてないんだから」
「お前な、あのペンダントはお前が唯一覚えてるモノなんだ。もっと大切に扱え」
そういうとちっ、と舌打ちを鳴らした。
「そんな大袈裟な物じゃないよ、きっと何となく覚えてただけ...」
「な訳あるか!俺の事さえ忘れたんだぞ、あのペンダントは最近持ち始めたとか言ってたが、俺とお前は10年以上の付きあいだ。何か訳があるに決まってるだろう」
一瞬取り乱したがすぐに静かになる、昔からこの優しい性格は変わらなかったんだろうな。たまにうるさいけど、いつも人の事を考えてる。たぶん主に僕の事だろうけど。
「そう言われてもなぁ、特に思い出もなかったと思うし、何より本当に記憶の一欠片も思い出せないし...」
僕も最初はこのペンダントに何かあるんじゃないか、と独自に研究していた。でも、至って現代の技術で作られた安物の人工宝石で特別な所どころか、普通の所しか見当たらない。チェーンもただのチェーンで普通に取り替えも出来た。
「まぁ、たぶん分かる時に分かると思うよ」
「お前はそういう所が危ういんだ、もしお前が言う分かる時が一番危ない時だったらどうする、来てからじゃ遅い」
「...ありがとう、でも大丈夫だよ」





