異世界生活基本の「調べ物」
「あぁほら後はこれだ。前回と同じ進歩はなかった、悪いな」
ぶっきらぼうに、こうやって度々会う度に渡してくる紙の束。
「また調べてくれたのか」
「当たり前だろ。お前がいないとつまらん」
そうコイツは元々僕と同じ宮廷魔術師で、同じ仕事をしていた。喧嘩は頻繁にしていたらしいが仲は良かったらしく、記憶を無くした後もこうやって接してくれてる。
そして僕のなくなくった記憶の手がかりをいつも探してくれてる。そう、僕の為ではなく前の僕の為らしいけれど。
「それに、お前にかかった魔法はお前から記憶を完全に消す魔法じゃない。記憶が完全に跡形も無く消されたとなると専門家じゃない俺の手には負えない、が違う。お前にかかってるのは[お前の記憶を何処か別の場所か物に保存して記憶を無くした状態にする魔法]だ、つまりお前の記憶が何処にあるかさえ分かれば...。消された状態でないなら記憶をまた頭にぶち込めばいい。だがそんな高度な魔術、俺だって使えな
「長い長い」
ははっと僕が笑った時、注文した料理がやってきた。新鮮なエビとイカのパスタ、ミートスープ、グラタンに男二人には似合わない可愛らしいショートケーキのデザート。
テーブルに並べられた沢山の料理を前に、ソイツは小さくため息をついた。
「...そんな憂鬱な顔しないでよ、僕は案外平気だよ?あの子が来て毎日楽しくやってるしさ」
「あの小さいガキ、一体どこから来たんだ?」
「さぁね」
「本人も思い出せないなんて、まるでお前と一緒だな」
まぁお前は俺がいる分まだましだろうが、と茶髪を髪にかけるとズルズルと麺を啜る、わりとゴツい顔と体のそいつはお洒落な物をよく食べる。
「あの子の出所は僕が勝手に調べていいような感じでもない気がして、あの子が知りたいなら僕は手伝うけど」
「本人が知りたいっていうまで何も手をつけないつもりか?」
「うん、その通り」
僕は薄いパンをスープに浸して食べる。お互いそれ以上は喋らず淡々と食事を続けた。
ちなみに家主が食らってるのはシャレオツなスープパンです...スープパンてなんだ(著者は食べたことがありません)





