異世界生活基本の「おでかけ」
「よしよし、戸締りは大丈夫かな。まぁこんな所に泥棒はこないだろうけど...」
幼女と家主はそれぞれ仕度を終えた。家主は珍しくモーニングスーツと呼ばれる昼用の礼服を身に纏い、髪もセットされ片手にシルクハットを持っている。そんな家主を幼女はじぃっと見つめていた。
「......」
「どうかした?あ、見惚れたとか」
家主はにこっと笑って見せたが、幼女はいつもと違う家主に本当に見惚れていたのか少し顔を赤らめた。
「なんでもありません、行きましょう!」
「えー」
そういうとドレスを翻し幼女はドアに手をかけ外へ踏み出す。だが、外にはいつもの通り木々が連なり道などあるはずもない。
「...家主さん」
「ん?」
「この森、どうやって降りるんですか?」
「そりゃあ魔術だよ、魔術」
(まじゅつ?)
幼女の頭がフリーズする。
「あ、そういえば前はまじゅつしだとか言ってましたね」
「ふふっ、昨日の話思い出したかい?」
「はい、じゃあ降りましょう」
そういうと幼女は少し靴底の高い靴でよっこらしょと、足元に気をつけながらもふつうに歩きはじめた。そんな幼女の腕を慌てて家主が引っ張る。
「いやいや、ちょっと待ってよ!話聞いてた?魔術だよ、魔術!」
「はい、でも昔の話じゃないんですか?」
家主がシルクハットを被り片手が空き、スーツの内側から青い宝石が埋め込まれた小さめのペンダントを取り出す。
「ははっ、バカにしてもらっちゃ困るなぁ」
「バカにする所しかないもので、すみません」
「...」
家主の愚行を思い出した幼女の辛辣な言葉を気にせず、家主はペンダントを土の上に置いた。





