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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
最初で最後のさよなら。
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異世界生活終わりの「これから」


「あの、ゆっくりするって...言ったのに...はぁはぁ」

「もうちょっとだよ、頑張れー」

家主は至って平気そうに笑っている。この森の足場の悪い中で、早足で歩いてどうしてそんなに平気なんだろうかと、無理やり連れ出された幼女は家主を睨みつけていた。



「ほら、今日はいい天気だから。丁度いいかなぁって」

「お天気はいいですけどーーー」


木に遮られてるものの確かに日差しはとても強く、まるで夏のような気温の高さ。そんな中私は朝食を食べ終えて服を着替えさせられて、歩きやすい靴を履かされて、今森を歩いている。



「みゃー」


家主の腕の中におさめられた子猫が細い声で鳴く。その声の可愛さに幼女は度々癒されながらも、太陽が照りつける中ずっと歩き続けること30分ほど。




「...あ、家主さん。結局この子どうするんですか?」

「そうだなぁ。君は飼いたい?」


「え?えっと...」

幼女は唐突な質問に戸惑いながら、家主の腕に抱かれる子猫を見つめた。


「みゃあ」

「かっ、飼いたいです、私」

幼女は小さく呟く、すると家主はにこっと目を細めて微笑んた。


「そっか、なら飼うといいよ」

「えっ、い、いいんですか?」

「うん、ちゃんと世話をするならいいよ。あの家もどうするか君が決めてくれて構わないし。あ、ほら着いた」


「え?」

家主はせせらぎが聞こえる側で足を止め、目の前の小さな木の小屋を見つめた。


「この小屋とこっちの平地は僕が魔術の練習に使ってた所だから、ここも君の好きにして。何かに使ってもいいし、放っておいてもいいし。近くに川があるから夏場なんかは川が冷たくて気持ちがいいよ、小屋は風通しもいいし」


家主は小屋とその隣にある平地を指差した。平地の場所はそこだけ手入れがされてるようで、周りが雑草が生い茂る中その一角だけは雑草も少なく歩きやすい場所だった。


「...えっと、それはーーー」

あの小屋がぼろぼろなだけなんじゃ...と幼女は口から溢しそうになったが唾と一緒に飲み込んだ。


「まぁ、そんな感じかな。森は自然だから出て行く時は特に何もしなくてもいいし、好きな時に外へ行ける」


家主は幼女を見てにこっと微笑み、どこか遠い目をしていた。


「......」

幼女は少しずつ察していた、その上で家主の言う事に一つ一つ深く頷く。


(これはお別れの挨拶、私の為に家主さんが残してくれるもの)


「座るかい?丸太の上だけど」

「...あ、はい」

家主に手を引かれて、幼女は大きな丸太の上にちょこんと座り、家主も少し間を開けた隣に座り膝の上に子猫を乗せた。


「みゃぁ」


(ずっとこのままここにいたい)

幼女は外に出たいなんて一度も思った事はなかった、ずっとずっとここにいられたら良いとあの人、とそう思ってきた。


「ーーーあと二日のうちにやらなきゃ行けない事が沢山あるから、手伝ってほしいなって思ってるんだけど、君が嫌なら...」


「ーーーーーです」

幼女は風の音に消えるほどの小さな声で呟いた。


「ごめん、今なんて言った?」

「ーーー私、あの家(貴方の家)にこれからも住みたいです」



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