異世界生活終わりの「2日目」
いつもの朝が戻ってきた。
といっても、まだ1日しかないたっていないけど、昨日はとても長かった気がする。暖かい卵スープが体に染み渡って、ふわふわのパンが口の中を優しく包み込む。
「キュプロクスの件はクロードに任せることにしたよ、色々とややこしいし君も疲れただろうし」
家主さんはいつも通りの格好と表情で私の頭を撫でる。
「...死んじゃいましたね」
「仕方ないよ、子供の方はまだ大丈夫だったけど父親の方は致命傷だったから。助けた所で助からなかっただろうし」
少し思い出せば昨日の夜の記憶が頭にすぅっと流れて揺蕩う、その度に私はモヤモヤしていた。あの時寝てしまった自分を責めたい、最後まで見届けられなかった自分を。
「ーーー君のせいじゃないよ、大丈夫」
家主さんはまた頭を撫でるとパンを頬張った、そして「美味しいね」とこちらを見てまた笑う。
「あの子はどうなっちゃったんですか?」
「子供のキュプロクス?あぁ、一応今はこちらにいるよ。王宮で囚われてる」
「っ、なんで..!?」
私は思わずむせ返りそうになった。
「唯一彼処で生きていたのはあの子だけだったから、宮廷の方で事情を聴く為にもまだ村に帰すわけには行かないだろうし。今は宮廷の騎士団と魔術師達が解決に向けて動いてるけど、どうなるかはまだ...」
家主さんの声が止まり、居間の窓から微かに見える宮廷を見つめた。
「抗争が起きなければいいんだけど、まぁそこら辺はあっちに任せよう。素人の僕らが手出ししても仕方ない、さぁ君も冷めないうちに食べなさい」
家主さんはキッパリ言い切ると、再び食事を始めてしまった。
「......あの家主さん...その、宮廷に...行っちゃ「ダメだよ」
あっけなく声は遮られた。
「で、でも!面会とか...出来ないんでしょうか?」
「面会は無理だろうね、出来たとしてもダメだよ
」
確かに私のお腹の怪我はまだ完治はしていない、それに家主さんの体もまだ万全じゃないかもしれない、それ以上に子供の私が関わるような話じゃないのかもしれない。
それでも、とやるせない気持ちで私はじぃっと食事を見つめた。
「美味しい?今日はちょっとドレッシングの味付け変えてみたんだ」
「...美味しいです、でもちょっと酸っぱいかも」
「そっか、じゃあ君好みにもうちょっと調整してみようかな」
ドレッシングをペロッと舐めると、甘酸っぱくて少しフルーティーな美味しいドレッシング。けど酸味が強いのか少し鼻がツンツンする。
「...今日は、ここでゆっくりしようか」
何か色々な事を含めた声で、家主さんはゆっくりと口を動かした。





