異世界生活終わりの「始まり」
そろそろ最終章に入ります。一旦幼女編はここで区切りをつけて、新しく次は少女編(?)の小説を投稿して書いていこうかと思っています。
息子が呼んでる、妻が残してくれた唯一の宝物が。
最後に一言だけ息子と話せればよかった。いくら村長様の為でも、生贄の為でも、村の為でも、私はこの子が大切だった。
気付くの事も行動に移す事も遅すぎた、あの子はこれからどうやって生きて行くのだろう。あの子に私は何も残してやれなかった。
醜い愚かな私がつけた、傷の後だけ。
「...ん」
頬に、暖かく柔らかい何かが当たるのを感じてゆっくりと目を覚ました。柔らかく暖かいそれはむにむにと私の頬をよじ登るように、触ってくる。
私は朦朧としながら、まばゆい光が射し込む見慣れた窓を寝転びながら覗いた。
「みゃーみゃー」
「?!」
黒い小さなふわふわの塊がが私の顔をよじ登ってきた。
「わっ、ちょっ...」
「みゃぁ」
「こっ、こしょばい...」
私の匂いを嗅いでるのか、くんくんと鼻を鳴らしている。されるがままの状態で段々と状況を思い出した。
「...あ」
「みゃっ」
血に濡れたキュプロクスの映像が頭をよぎり、衝動で体を起こした。その反動で私の顔をよじ登っていたふわふわの塊が、ぽとんとソファへ落ちてしまった。
「だ、大丈夫っ?」
「みゃっ」
朝の黒い子猫は平気そうに自分の足をペロペロと舐めていた。
私は昨日の朝を思い出し、ハッとして笑みをこぼした。
「ふふ、元気になりましたか?」
「みゃーみゃー」
私は子猫を抱っこした。柔らかな感触と余りの小ささに少し驚きながら、顔を見るともふもふの黒い毛から綺麗なイエローの目が覗いていた。
「かわいい...」
くりくりの目で見つめられて、たまらず子猫に頬ずりする。
「......みゃ」





