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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
一つの憧れ。
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異世界生活新しい「いつか叶うべき夢」


「ーーそれに命を永らえても凶暴化してしまえば、遅かれ早かれ始末される運命だ。怪物が魔物になれば、人は恐る。そうでなくても怪物と人が共存して行くのは難しい、凶暴化した魔物を放っておく訳にはいかない」



「トウサン トウサン...トウサン」

悲しさが滲み出ている細い声で、もうピクリとも動かないキュプロクスの体を子供は揺さぶり続ける。


「...ッ ボクモ ボクモ シヌ...!」

覚悟を決めた様子で子供のキュプロクスは、自分の持っていた細い槍を胸に当てた。


「っ!ダメで「やめろ」

幼女の言葉を遮り、横からリュカの手が伸び細い槍をキュプロクスから奪い取った。


「...リュカ君?」


「ドウシテ モウゼンブオワッタ ドウシヨウモナイ コノママ トウサント シニタイ...トウサント トウサント...トウサン」

キュプロクスは、目の前の現実を受け入れた途端大きな目からぽろぽろと涙を零し始めた。


「...いいよ、泣け。泣いた後は全部どうでもよくなる。ガキの俺が言うのも変だけど、お前もまだガキなんだから、後に良い事がありゃあ、後にあった嫌な事も辛い事も全部流せる。だから、お前が死ななくても大丈夫だ」


「...ウ ァアアァアァ....」


キュプロクスは唸るように泣き声をあげた。


「別に死ぬなとは言わねぇ。でもお前が死んでも誰の為にもなんねぇし、自己満足でしかない。それぐらいならもっと有意義に死ね」


「...俺はまだガキだから分からねぇけど、村でお前のこと待ってるやついるんじゃねぇのか?死んだら悲しむぞ」


とても優しくまるで母が子守唄を歌うよう口調で、リュカは語りかけた。


「デモ トウサン トウサン...シンジャッタ...」

「分かってるよ。父さんの事大好きなんだろお前。あの時自分の父親に刺されたって聞いたのに、...お前全然悲しそうな顔してなかったよな」


リュカは眉を潜めてぽつりと呟いた。


「トウサンノヤクニタテタ ウレシカッタ ヨワイボク ヤクニタテテクレタ...」

子供のキュプロクスは自分の父さんに刺された場所を、慈しむように撫でて微笑んだ。


「...はぁ、言っとくけどそれは間違ってるからな。そんな事で喜ぶな阿保。弱肉強食だが何だか知らねぇけど、間違ってんだろ。弱い奴が強い奴の為に殺される世界なんて、しかも大人も子供も関係ないなんてよ」



「ソウ...ナノ?」


子供のキュプロクスは心の底から不思議そうに首を傾げた。


「あぁ、お前にとって当たり前の世界かもしれねぇけど違う。強い奴の為に、お前が犠牲になる必要も弱い奴が犠牲になる必要もねぇ」


「ソンナ スゴイセカイ...ツヨイヒトニシタガワナクテイイ?イタイオモイ シナクテイイ?」


「...あぁ、あるともすぐ側に。君の親父さんだってそんな世界を目指してたかもしれない、今生きてるキュプロクス族の人達だって、誰か目指してる人がいるかもしれない」


クロードが横から口を挟み、キュプロクスの頭を優しく撫でた。キュプロクスの目からは変わらず涙が落ちているものの、ほんの少し光(救い)が宿っていた。


「...リュカ!」

「なっ、ば、ばあちゃん!?」


前方から近づいてきた黒い影はだんだん人の形になり、杖をついたリュカのおばあさんはリュカに近づくなり、杖から手離してぎゅっと力強く抱きしめた。


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