異世界生活新しい「理解と事情」
「ぐ、負けてたまるかぁぁぁあああ!」
「っ?!」
「俺の後ろに下がっていろ」
大柄のキュプロクスだけは一閃の光を槍で弾き飛ばした。そしてまた槍をブンブンと回転させ、がむしゃらに襲いかかってくる。
「戯れるな、獣が」
詠唱もなしに繰り出される光の攻撃魔術は、芸術と言わんばかりの綺麗な魔術で、暗闇を駆ける光の線はまるで流れ星のような儚さや煌めきを放っている。
リュカはただそれに見とれた。
「こんのぉぉぉぉおおお、邪魔をしおってえぇぇぇ!!」
それでも光の線は次から次へと大槍で弾き飛ばされていく、そんな中クロードは眉をひそめサッと右手を挙げた。
「アイスフッド」
カチン、と音が鳴りキュプロクスの足を氷が覆った。
「大人しくしていろ、面倒をかけさせるな」
クロードは冷気が含まれた声でそう言い放つと同時に、氷はキュプロクスの体を侵食していく。
「なっ、殺す気か貴様ぁっ!」
「まさか。子供を使い人を殺そうとしたのにかわりはないだろう、人の家へ不法侵入した罪もだ。このまま捉えて連行する」
クロードが再び手を挙げた。氷はキュプロクスの体をまるで飲み込んでいくように凍りつかせ、大槍さえも凍ってしまい、キュプロクスは身動きが取れなくなっていった。
「っ、クロードさん!待ってくださいっ!」
「何事だ、お嬢さん」
後ろを振り返る事もなく、息を切らしてぜぇぜぇと苦しそうにこちらへ来る幼女を、クロードはちらりと横目見た。
「はぁはぁ。まだ、つれて...いかないでください」
幼女は凍りついていくキュプロクスをかばうように前に立った。
「おい邪魔するなよ、止めることなんてねぇよ」
リュカは幼女の腕を掴んだ。
「っ、そうだけど!でも、キュプロクス族の村の村長がいないのは、皆困るし寂しいと思う。村長さんはきっといい人だったんだと思う、子供達からも慕われて、大人達から尊敬されるような...む
「はっ、そんなの知るかよ!自分らの村の事ぐらい自分らでどうにかしなきゃ仕方ねぇだろうが。そもそもお前は甘いんだよ!助ける理由もねぇのに...」
「別に助けたいわけじゃないよ、ただこのままこの人を連れていっても、キュプロクス族の村は混乱するだけだと思います...ただでさえ村長さんがいないのに...」
「確かに、それも一理あるな。事実がある以上放っておく事は出来ないが、これは正式な任務ではないしな」
幼女がそういうと、クロードは少し間を開けてそう言った。
「っ、どうしてです?!クロードさん!俺は今すぐにでも捉えて連れ行くべきだと思います。家も荒らされて、こっちは殺されそうになってんのに、相手の方の事情なんてーーー」





