異世界生活新しい「意味」
玄関で靴を脱ぎ捨て、無人の一階を後に2階へ向かった。
「っ、はぁはぁ...」
ガチャッ ガチャッ ガチャッ
肩で息をしながら幼女は、2階の部屋の扉を手当たり次第に開けていく。だが、魔力の気配どころか人の気配すら感じられなかった。
ガタッ
「一階から...?」
物音に反応して、慌てて階段を駆け下りた。そして居間の方へ行くと
「家主さん!おばあさんも!」
おばあさんに寄り添うように、家主はおばあさんを絨毯の上に座らせていた、近くに行かないと、ソファで隠れて見えない所に。
「っ、無事でよかった...」
幼女を見るなり、相変わらずぎゅうっと苦しく抱きしめてくる家主を、「気持ちは嬉しいですけど、今は離してください...!」と剥がした。
「君、血がついてるじゃないか」
「え?あ、これは、私の血じゃなくて...」
幼女の返り血が少しついた顔に暖かい手が触れると、思わず幼女は安心してしまいそうになる。そんな幼女を見て、家主は心配そうな表情を浮かべた。
「大丈夫かい?」
「ーーーっ、う」
「よしよし」
(どうしよう、涙止まんない...)
「っ、あの、リュカ君は?キュプロクスは...」
「リュカ君はクロードの所だよ。たぶん外にいる」
「ーーーえ、クロードさん?」
唖然とする幼女に家主は、全て大丈夫と言うかのように笑顔で頭を撫で続けた。
「どっ、どうしてクロードさんが?」
「実はクロードの仕事が終わってから、僕らの家で留守番しててもらったんだ。ほら子猫の世話があるから」
「あ......」
「だから、おばあさんに電話を貸してもらって助けを呼んだんだよ」
「ごめん...最初からそうしてれば良かった」
幼女は横にぶんぶんと首を振った。
「ーーー力でねじ伏せても、きっと意味はないと思うんです。家主さん、私外に行ってきますね。まだここに隠れててください」
「っ、君が行く必要はない!もうクロードが
「いえ、私が行きたいんです、行ってきます!」
頬に伝わる涙を拭い、家主の返事を聞く事なく幼女は再び玄関から外へ出た。そこに追いかけてきた大柄のキュプロクスの姿はなく、けど裏庭の方から怒鳴り声が響いていた。
(どれだけ強い人がいても、守りたいものは自分の手で...すごくエゴなのかもしれない。でもあの時のリュカ君はすごく素敵だった)
どうして気づかなかったんだろう。
幼女はお腹の痛みも忘れて、ひたすらに走った。





