異世界生活新しい「忘れてはいけない事」
「...大丈夫なわけねぇだろ、アホか。身体中ぶつけたりやられたりで痛いに決まってんだろ!」
「ご、ごめんなさい。でもリュカ君鈴は...?」
「ーー悪い落とした。攻撃受けてかわそうとしたら川に落ちた、っごほっ」
リュカ君は肩で息をしながら息苦しそうに地面に膝をついた。
「獲物がそちらから来たか 手間が省けて良い事だ おいそこのお前家の中の奴らも始末しろ」
「何言ってんだお前、ばあちゃんに何を...」
「やはり貴様の親であったか なら尚更 子供が今から殺されるのだからな あっち側も殺しておかねば面倒であろう」
そう言い放つと、一人の大人と思われるキュプロクスが家の方へ歩き出した。その後をついていくように次から次へとキュプロクス達は武器を構え向かっていく。
「おい、ちょっと待てよ...待てっつてんだろ!」
リュカ君は立ち上がり辿々しく歩き出した。
「待って、リュカ君一人じゃ危険です!」
「っ、待ってられるか!俺はお前より、弱いけどな自分の手で守りてぇもんぐらいあるに決まってんだろ!お前の家主もうちにいる、お前は守りたくねぇのか?!」
「それは、それは私だって...」
チラりと後ろを振り返ると、大柄なキュプロクスはこちらから目を離さない。
「チッ、俺は行くぞ!」
「っーーー」
「どうせ殺されるというのに愚かな いや生きたいという欲を持つのは良い事だ だが弱くては何も守れんがな ハハハッ!バカの極みだ」
「っ、貴方はーーー!」
私はキュプロクスの服を掴み破れそうな勢いで、ぐいっと引っ張った。
「っ、何をするっ!」
「もし、叶わないとしても望みを持つ事ぐらいは弱者でも許される世界であってほしい。貴方達の事私はよく知らないです。でも無抵抗で殺されそうになった人は見たことがあります、でもその人は家族の為に戦いました!どれだけ弱くて無力でも、守りたい気持ちは貴方より確実に強い。自分の名誉を守る為に子供に手を汚させる貴方なんかより、確実にーーー!」
怒涛の怒鳴り声は森まで響き渡っていった。
「...ふざけるなよ、所詮魔術師如きがあぁぁ!」
「っ、サンクチュアリ!」
槍を構え猛突進でこちらへ槍を突き刺して来る、一撃一撃が重くのしかかる様な重圧に、結界を張っていても体が刺されてるような感覚で体を地面へ叩きつけられた。
「はぁっ...私をその子には殺させない。私は誰かの為に死ぬんじゃない、自分の為に生きる事を教えてくれたのはいつだってあの人だった。弱い貴方に構ってる暇はないです!」
「なっ、何を...こんのおぉぉぉ!」
大柄のキュプロクスは目を充血させ、こちらに槍を向けた。
私は無我夢中で家の方へ走る、後ろから絶え間無く飛んで来る槍は相変わらず結界越しでも重い一撃。だけど他のキュプロクス達はもう辺りに一人もいない、家の中へ入ったのか、外はさっきとはまるで違って静か。
ただ、家の中から誰かの悲鳴が聞こえた。





