異世界生活新しい「キュプロクス」
私はキュプロクス達か全員戻ってくるまでに、リュカ君に簡潔に事を話した。
「いや待てよ、は?つまりなんだ、お前を殺そうとしたのは儀式の生贄の為で、それをやったコイツは大人の命令でやらされてたって訳か......大人クソじゃねえか!」
「ちょ、リュカ君声が大きいです...!それはそうだけど」
「チガウ ボク ヤリタイカラヤッタ ソンチョウ スキダカラ ヤラセテモラエタ」
「ちっげえよ!大人らはお前を利用したんだぞ?!なんで怒らねぇんだ!阿保か!」
リュカ君は目を見開いて、キュプロクスの肩を掴みぶんぶんと前後ろに揺らした。
「だから、リュカ君声が大きいです...」
ヒュンッ!
ドンッ!
「チッ、もうか。で、ここからどうすんだよ?俺はキュプロクスの大人らに一言言わなきゃ気が済まねぇ...」
キュプロクスの集団がこちら近寄ってくる。一番大きいキュプロクスは身長2メートルほどで、大きな一つ目で睨まれるとまるで体が固まるような感覚に襲われた。
「ボク ハナス ユルシテモラエルカモ」
「そ、それはダメです。もう...貴方の事敵だと思ってるかもしれない」
「ドウシテ」
「私達と一緒にいるからです」
その時、矢が一斉に放たれた。
「っ...!?」
1ミリの抵抗もできず、ただ結界を維持するのに精一杯。それでも結界は次々と放たれる矢に耐えられず、少しずつ削れていく。
「おい、矢が激しすぎる、俺の結界剥がしてお前に魔力全部回せ!」
「そんなの出来ません!リュカ君が怪我するじゃないですか...!」
視界が矢で塞がれるほど、次から次へと休む間もない。必死に魔力を結界へと回して補欠していく。
「リュカ君鈴です、鈴鳴らしてっ!」
リンリン リン リン
攻撃がピタリと止み、キュプロクス達の目はリュカ君に向いた。
「はぁはぁ...あの貴方に命令した偉い人達って、今ここにいますか?」
「イマイナイ デモアノヒトモ エライ」
子供のキュプロクスは、1人の大柄のキュプロクスを指差した。
「分かった、ありがとうございます」
「っ、おいお前どこ行くんだよ、まさか直接話す気か?!やめろ!バカ!」
「リュカ君はまた鈴で気をそらしててください、あのキュプロクスと話して来ます」
「おい、待て!クソッ...」
私は子供のキュプロクスの手を引っ張って、鈴の音に誘われるキュプロクス達を避けながら進んだ。
「この人、ですか?」
「ウン エライヒト」
私より遥かに高い背に、大柄な体つき。獣の皮を見にまとっている。そしてキュプロクスはこちらに気づいたのか、私の方は大きな目をギロリと動かした。
「...貴様は、獲物か。槍と弓どちらで死ぬのが良い」
(言葉ちゃんと話せてる。カタコトじゃない)
キュプロクスは低く掠れた声でそう言った。そして、ふと背中に背負っていた大きな槍を右手に持ったかと思うと、もう片方の手で弓を構えはじめた。
私の中に緊張が走る。
「っ、私はまだ死ぬ気はありませんし、この子から話は聞きました。そんなに自分達の手を汚したくないんですか?」
「なんだ聞いたのか、勿論全ては我がキュプロクス族の誇りのため。そう、話したのは貴様か」
大柄なキュプロクスは私の横に立っていた子供のキュプロクスを見つめる。
「ダッダッテボク ソンチョウノタメ 二...ア、アァ」
大柄のキュプロクスの右手が動いた。
そして視界が一面赤く染まる。あまりに一瞬、躊躇もなく戸惑いもなく、慈悲などない無表情でとても容易く。
一瞬がスローモーションの様に過ぎていった。
「...ハッ、村の者の手を煩わせた罪だ この役立たずめ」
「ーーーうそ」
私は崩れ落ちた、子供のキュプロクスは仰向けに倒れ、心臓から溢れ出る血は土を濡らし、止めどなくドクドクと血液は流れ出ていく。
ピクピクと手が動いているからまだ生きている、でもそれも、私が唖然としてる、ほんの数秒で動かなくなっていった。
「貴様が 大人しく生贄となれば この家を襲撃する事もなかったのだ。さぁ、シネ」





