異世界生活新しい「計画」
ガタッ!
ヒュンッと一瞬で風を切る弓、まるで雷霆のように素早く突き抜ける槍、そして吹き荒れる風。結界の光のお陰で、暗闇でも足元はよく見える。
「チッ、あっちからもこっちからも弓とか槍とか飛んできやがる......っ!」
ヒュンッ!
喋っている間にも色々な武器が私の結界めがけて飛んで来ては跳ね返されていく。
「おいこっち、誰かいるぞ」
リュカ君が家の裏に回り、木の影を指差した。暗闇の中で何かが動いてるのが見える、人っぽい形の...あれは...
「キュプロクス、でもまだたぶん子供だな」
「...もしかしたら、昼のキュプロクスかもしれません、布を巻きつけてる服が全く同じに見えます」
「マジか、なら手っ取り早く捕まえて話そうぜ。あのキュプロクスは言葉話せるんだろ?」
「はい、たぶん」
私はポケットから一つの小さな銀の鈴を取り出した、至って普通の鈴で特別な効果なんてないけれど、キュプロクスを呼び出すだけならこれで充分。
リンリン、リンリン
「...音小さくねぇか?」
「大丈夫です、キュプロクスは金属音に敏感なんですよ」
しばらく鳴らしていると、影でウロウロしていた子供のキュプロクスの動きが止まり、こちらを振り返った。
「一つ目ってこえーな...いきなりこっち見られたら心臓止まりそうになる」
「以外と乙女なんですね、リュカ君」
「うるせぇ、っていうか槍持ってこっち来てるじゃねぇか!早く捕まえ.....ーーー?」
リュカ君はふと気配を感じたのか勢いよく後ろを振り返った、そしてその光景に目の色が変わっていく。
「ーーーお前、騙したな」
「...だ、だって、キュプロクスは皆金属音に反応しますから、一人のキュプロクスだけ上手く誘き寄せるなんて器用な事は出来ませんし」
大人から子供までのキュプクロス、十人以上に後ろを囲まれてるのが確認できる、さっきまで弓や槍を打ちまくっていたキュプロクス達がこうやって鈴の音で誘き寄せられた。
動きが素早いのか暗闇の中だからか全く姿が見えなかった分、思ったよりも数が多い。
(キュプロクスの家族かな。こんなに沢山、何処に住んでるんだろう...)
「テメェ、よくも...!」
「で、でもほら鈴を鳴らしてこっちに注意を向けてれば、おばあさんのお家は安全ですよ!私はあの子と話せますし、一石二鳥だと思いません?」
私は精一杯の笑みでコクコクと頷いた。
「......それもそうか、ならいい。で?こっからどうするんだよ、お前を刺したあの子供のキュプクロスと話がしたいならコイツら邪魔だろ?」
後ろのキュプロクス達は武器を構え、今にも打ってきそうな勢いでこちらを見つめてる。
「そう、だからちょっと気をそらしててもらいたいんです。一斉に後ろの数のキュプロクスに攻撃されると正直私の結界が持つか分からないですし、話に集中できません」
私はリュカ君に銀の鈴を渡す。
「これを持って、5分ぐらい時間を稼いで欲しいんです。途中攻撃されると思うので結界は私とは別に貼っておきます、他の人には見られないよう危険が及ばない範囲で」
「...分かった、じゃあ適当に森の近く辺り行って来る。彼処ならよく遊びに行ってるから迷う事もねぇし」
「...じゃあ、お願いします」
「おう」
そして暗闇の中、煌めく鈴の音でキュプロクス達は私とは反対側に誘き寄せられていった。





