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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
終わりの僕と始まりの君。
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異世界生活新しい「光と闇」


「何もいねぇ」


外に出て家の周りを巡回し始めた途端音はしなくなった、ここをもっと奥へ行った草むらの所で、あの子の血があったと聞いた。


詳しい事は分からない、あの子の目が覚めたらしっかり聞かないと。


僕には時間がない、あと3日。どんなハプニングやイレギュラーがあっても、クロードやルナ、宮廷魔術師時代の友達、ルフェンシュ王国の現国王様にも僕の事は噂されてると聞いた、裏切る事は出来ない。


「おい!聞いてんのかよ、家主」

「え?あ、ごめん、何だって?何かあった?」


「懐中電灯照らせ、彼処になんかある」


慌ててリュカ君の側へ行く、暗闇の中月の光で一瞬だけ煌めいたそれに、懐中電灯を照らした。


「なんだこれ」


草むらに転がっているのは槍だった、先だけが鉄で出来ているのかそこだけ光っている。


「なんだ、これがどっかぶつかって音がしてただけか」

リュカ君は呆れたように大きなあくびをした。


「ーーーいや、待ってリュカ君。これ血がついてる。まだ濡れてる」

「狩りかなんかに使ったんだろ、新しい血ついてるのなんて当たり前じゃ...」


リュカ君に懐中電灯を預けて槍を拾った。そこそこ重さはあるものの、クノの木と鉄を組み合わせて作られた一般的な槍。


「おい、帰ろうぜ。寒いし風強くなってきやがった」

「ーーー足跡?人じゃない。大きいしそれにこの足跡の形...」


(今まで誰か居たって事かな、でももう気配もない、槍を持てるんだから人か人型のやつらか、でも足跡が人間の形じゃない)


「おい、聞いてんのかよ。別に誰もいねぇし大丈夫だって?あ、おい家主、上見てみろ」

「上?」


「家主さーん」

言われたままに上を見上げると、西側の2階の窓から手を振る彼女がいた。僕が気づくと嬉しそうにさらに手を振る。

「...起きたのかい?」


そう尋ねるとコクコクと激しく首を縦り大丈夫とでも言うかのように柔らかく微笑んだ、リュカ君に頼んで彼女の方に懐中電灯を当ててもらう。


「体はどう?」

「大丈夫です、まだお腹は痛いですけど」

「...そう。もう戻るから、窓閉めて待ってて。寒いから風邪ひくよ」


僕が厳しくそういうと、寂しそうな面持ちで彼女はこちらを見つめてくる。


「おい、なんかアイツに対して怒ってんのかよ」

「え、別にそんな事ないけど...そんな風に見えてるかい?」

「なんか俺と話してた時より声低いから、あと話し方」


リュカ君に指摘されて初めて気づいた、言われてみればそうかもしれない。


「...ごめん、もう戻るからとりあえず風邪ひかないように窓閉めて待ってて、すぐ戻るよ」

一度俯いて考え、再び彼女の方を見てそう言った。



「ーーー家主さん危ない、っサンクチュアリ!」


彼女の大声で、一閃の光が一瞬僕らの周りを走った、そして眩い光がまるでガラスが重なるように僕とリュカ君を綺麗に囲んだ。


「リュカ君下がって...!」

僕はリュカ君を抱きしめる体制になったが、彼女のお陰で東と西からヒュンッ、と風を切って飛んできた二つの槍は魔術の光の結界に刺さった。


「っ、はぁ?!なんだよ今の槍...」

リュカ君は慌てて懐中電灯の光を槍が飛んで来た所を交互に照らす。


「...分からない、でもたぶん僕らを狙ってる」

(夜に活動すると言えばナイトバード、ヴァンパイア、ガーゴイル、ゴースト)


「っおい!とりあえず早く帰ろうぜ。ヤバい気がする」

「ーーあぁそうだね、帰ろう」



顔がこわばるリュカ君の背中を撫でて、おばあさんの家へ戻った。

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