↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
終わりの僕と始まりの君。
PR
111/175

異世界生活新しい「歴然の差」


少しの沈黙はクロードの声でやぶられた、リュカは唖然としてすやすやと眠る幼女を見つめる。


「さぁ、俺はもう帰るとしよう。お嬢さんの傷も医療と魔術でだいぶ回復してる事だ、そろそろ仕事を片付けないといけない」


クロードは立ち上がり、黙るリュカの方を横目見た。


「何か、質問はあるか?」


「っーーあの、どうしてコイツを生徒にしたんですか!?」


「...家主に頼まれたからというのもあるが、俺自身もこの子には期待しているからだ。この子には才能がある、この子は凡人ではない、この歳でこんなにも才能を発揮出来る子は初めて見た」


クロードさんは誇らしげにアイツの頭を撫でる。


「ーーーそんなに元の出来がいいんですか?俺だって...頑張ってやってて、でも全然魔術上達しなくて、逆にどんどん下手になって...っ、やっぱり元の才能が素質がないとダメなんですか?!」


俺は声を荒げた、才能だとか素質だとかくだらない。


「そうだな、才能も素質も勿論あればあるほど損はしない。そして才能を伸ばそうとする向上心、未来ある若さ、お嬢さんはいくらだって努力をやめない。魔術は体力もかなり使う、それを少し話しただけなのに一年前からずっと夜に腹筋を続けているらしい」


「っ、俺だっ...て!!」


言い返そうと口を開いた時、ふと朝の事を思い出した。朝飯を食いながら、慌ててやった座学の宿題、分からなくて少し答えを見たりした。最近は魔術の授業をあまり真面目に聞いてなかったり、集中できなくてイライラしたり、出来ない魔術は一回やって諦めた。先生に注意される回数もかなり増えた。


そんな自分も嫌いな事を思い出した。


「リュカ君、君とお嬢さんの差はなんだろうか。例えば、この純白のローブは何の為にある?お洒落ではない、汚れを拭くため、もしくは隠す為だ。何事も努力しなければ体も心も汚れはしない。つまり、これは(隠す物は)必要ない」


クロードさんはまるで俺を見透かすように真剣な眼差しで、由緒ある校章が刺繍されたローブの裾をつまみあげた。


「ーーーっ」

「じゃあそろそろお暇しよう。リュカ君、君の魔術が上達する事を願ってる。では」


パタンと扉が閉まる音と同時に、俺は眠るアイツに近寄った。名前がないなんて珍しい、というか自分の家族が怪我したのにあの家主は隣の部屋で何してんだ。


「...悪かったな、朝は無理やり魔術使わせて」

消え入りそうな小さな声で呟いた。


「ーーー俺は、親の背中見て魔術師目指したんだ。でクロードさんが魔術師として一番尊敬する人になった、六年前たまたま闘技大会で見たクロードさんの攻撃魔術に見惚れたんだ、俺もあんなカッコいい魔術使って悪い奴懲らしめたいって」



「ーーー俺は、攻撃魔法は下手くそだ。何なら回復魔法の方がまだ望みはある」


(お前みたいな才能が、元の何かが欲しかった。何もしなくたって、産まれた時からあるようなそんな...)


「なぁお前は、才能もあるのになんで努力するんだよ」


「ーーー」


「...なぁ教えてくれよ、どうして、どうして諦めないで努力出来んだよ。嫌になったりしないのかよ、誰かが応援してくれれても、自分だけ全然出来なくて自暴自棄になって辛くなって、自分さえも嫌いになったりしねぇのかよ...っ」



ベッドに顔を埋めて眠るコイツに訴えかけるように俺は泣いた、まるで強請った物を買ってもらえなかったガキみたいに。


悔しい、羨ましい、どうして、色んな感情が混ざってよく分からない。



一緒に頑張ろうと言ってくれた友達も、もう自分の道を見つけて進んでいった。置いていかれる、恐怖と焦りに押しつぶされそうな夜が何度もあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。