異世界生活新しい「助け」
「っ...!」
痛い痛い痛い痛い、痛いーーー
息をする事も痛い、なのに息はどんどん荒くなっていく。灼熱感に今まで感じた事ない痛みに幼女は倒れこんだ。
それでも槍は刺さったまま。
「ど...して」
掠れた声で幼女は子供のキュクロプスに問いかけた。
「...シネ」
でも、返ってくる言葉はそれだけ。この雑草をかきわけて行けばすぐそこには人が住んでいるのに、村があるのに、どうしてこんな所に、どうして私を、と幼女にそれら全てを言う気力は無かった。
「家主さ...ん」
愛しい人の名を呼ぶ。
(こんなことになるなら、本当のこと言えばよかった。どうして、強がっちゃったんだろ......)
「シネ」
嫌な音を立てて槍が抜けていく、キュプロクスは幼女を見下した。幼女は気力と根性だけでどうにか意識を保っており今にも気絶しそうに、地面に這いつくばっている。
「っ、まって...」
子供のキュクロプスは何も言わず、血が滴る槍を持って去っていった。
取り残された幼女は、息を吸って吐いてとする度にズキズキとお腹がまだ刺されてるようなそんな感覚に追われる。
(...麻痺してきたからだいぶ楽な気もするし、血は相変わらずポタポタ垂れてるけれど、どばどば出て来ない分まだマシなのかも...)
「家主...さん」
...少し歩けば人が住む家もある、あのおばあさんの家もすぐそこにある。でも、もうーーー
(まだ、死にたくない...家主さんに会いたい...)
「っ、フィル、フィルラ......」
涙がこぼれ落ちる中、死に物狂いで適当な回復呪文を口にする。今はとりあえず助けを呼べればいい、助けさえ呼べれば大丈夫。だから、せめて歩けて動けるようにチグハグな回復魔術でお腹の痛みを血を無理やり止めていく。
例えるならまるで朦朧とする頭を殴って無理やり意識を取り戻すような行為。
「っ、よしっ...」
(動ける立てる歩ける、大丈夫、だから立て私)
痛みを無視して木にすがりついてどうにか立ち上がり、すぐそこに見える煉瓦造りのおばあさんの家を目指す。パジャマは胸の所から足元まで血が滲んで赤く染まっていた。
「おばあさん...」
回復魔術がようやく体に回ってきた頃、普通に歩けば10秒ほどの距離を1分ほどかけて歩きようやく玄関まで来た。
トン、とインターホンを押す。
「はぁ、っ...」
その瞬間思わず地面に座り込み、刺されたお腹を抑える。
「どちら様で...まぁっ、っどうしたの!?あら血が、やだ酷い怪我だわ...」
おばあさんは幼女を見るなり、おろおろとしゃがみこむ。そして慌てて、家の前を通りかかった何かの荷物を担いだ一人の中年の男性に声をかけた。
「そこの方、助けて頂戴!」
「なんだ、ばあさん...ってなんだこの子?!酷い怪我じゃないか!」
「そうなの、よく分からないけれどとにかくお医者さんを呼んで!急いで!あ、そこの方も助けて頂戴っ」
おばあさんは通りかかる人達全員に声をかけていく。幼女の意識は回復魔術で手に負えないほど、朦朧としていた。
「しっかりして、今お医者さんが来てるわ!しっかり...っ!」
しばらくして額を滲ませて幼女は意識を失った。片手に握りしめた栞は力が抜けた幼女の手から落ちて、ヒラヒラと地面に落ちていった。





