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信じられないでしょうけど、出禁と『覗き魔』です!


ね、寝過ごしたー!


「あはははははハははははははハ!」

[『プログラム』……解析完了、限定的な『バックアップ』をインストールします]


なにコレなにコレなにコレ!

気分がいい! 物凄く! コレなら私、なんでもできちゃう!


未だ嘗てない万能感に従って槌を振り回す。

なぜだかわからないけれど、今ならどんなものでも壊せてしまう気がする。

いや、間違いなく、どんなものでも、例外なく。


目の前の白い女の子。

その声質は現実世界(リアル)のボーカ○イドになんだか物凄く似ている。

なんというか、人間らしさを感じない。

それはそうだ。機械なのだから。

機械ってことは、固いんだろうなぁ。

でも、壊せるんだなぁ。


あはっ


「あははははは! ん? なに? あは、なんか、新しい力が増えてるぅ……面白そう『鬼遊戯(キラー・ゲーム)』」


うん? 使ってみて、少し懐かしさを感じる。似たような力を、どこかで見たことがある。かなり身近に、確か……

―――っ! 頭、痛っ……って、なに考えてたんだっけ、あ、そうだ。


はやくあの子を、『殺さなきゃ』。


「早く逃げたほうがいいよ。私が『鬼』だから。10秒待つね。10秒経ったら追いかける。制限時間内に逃げ切ったら貴女にご褒美。その代わり捕まったら」


動くのに邪魔になるので、車のハンドルを右に切るかのように両手で円を描くと、悪殺が縮んでキーホルダーのように変化した。

へー、こんなことができたんだ。今初めて知ったよ〜。


「地獄の苦しみがまってる」


笑顔でそう告げた。

だから頑張って逃げてよね。

そうじゃなきゃ、やりがいがないからさ。


さて


――10――


[『帰還』]


フッとトクシキちゃんの姿が消えた。

『帰還』。マスターのところに戻るアビリティかなぁ。


――9――


ならケンゾウちゃんのところにいるよねぇ


――8――


カウントは続いていく。

嗚呼、楽しい。気持ちいい。このままずっとこれが続けばいいのに。

何故だろう。先ほどまでの万能感が少し薄れてしまっている気がする。

『鬼遊戯』を発動した時あたりからだろうか? いや、行動を始めたその瞬間から少しずつだけど薄くなってきている。

おっかしいなぁ、なんでだろう。

―――まぁいっか。どうでもいいよ。どうせ結果は変わんないんだし。


「……7」


あははは。たーのしいなー。つまんないのは嫌。ほんの暇つぶし程度には、楽しませてよね?


--- --- ---


おかしい。


戦いに参加するでもなく、しかし戦線を離脱するでもない俺は、とにかくひたすらに走って走って隙を伺っていた。

しかし、一度戦いから視点を変えて一連の流れを思いだし、そう感じる。


ケンゾウは、何故だか昔から俺が『弱い武器』ひいては『魔剣』『聖剣』を持つことを嫌がっていた。

そのため、一時期鍛治職人NPCのヘイトをこれでもかと集めてでも、自分が認めた腕のやつ以外が打つ武器を俺に持たせないようにした。

この行動は、数多ある『武器屋』『鍛冶屋』……etc殆どの店がシャッターを開けずプレイヤーに武器を作ってくれないという大事件と呼ばれるところにまで発展した。


当初『ゲームの仕様です』というコピペでプレイヤーのクレームを捌いていた運営も、日が経つにつれ「これはマズイ」ということを察し、後日全プレイヤーのログインを数日規制した緊急大型アップデートが実施。

アップデート内容はNPCのヘイトのオールリセット、NPCの行動シークエンスの一部修正、そして面子のためか知らんがたかがたった一人のプレイヤーの行動で事が起きたということを公にせず、ヘイト管理関係システムの一部見直しとなっていた。


勿論、ソロ仲間であった俺たちはそのことを知っているから(特に俺は、結構関係者だし)、今回もそんな感じでことを起こしたんだと思ってた。


「なんでだ?」


だけど違う。俺とケンゾウは、戦っている。

明らかにあの時とは違うのだ。

あの時、前回は俺から逃げに逃げた。『世界の果てのどこまでも、俺は逃げるぜ、アディオス!』と人差し指と中指を『チャッ』と動かしウインクしながらそんな言葉を残し、良い笑顔で城型プレイヤーホームの最上階から飛び降りたのを今でも覚えている。

あいつは場を好き放題に荒らすだけ荒らして、ほとぼりが冷めるまで別ゲーで自分の嫁達とよろしくやっていたらしい。


まぁそれは別に良い。爆発してくれればな。

話を戻すと、そもそもあいつは俺達と『戦う必要』が無いんだ。

メリットがないのだから。

あいつはNPCを苦しめたいわけじゃ無いから制約はほっときゃ消えるし、俺に武器を渡さなきゃいいだけなのでわざわざリスクを負ってまでこの場に出てくる必要がない。

ナイフを投げたのだってそうだ。何故『自分はここにいるぞ』と言わんばかりの行動をした?

しかも二度も、俺たちに対して。

自分が作ったナイフであることを俺たちが理解できることぐらいわかる筈なのに。


俺たちがここにいるなら、黙ってトンズラかますのがケンゾウというプレイヤーだ。


「っ! ぶね!」

「おろ? よく避けたなベル。勘がいいやつはこれだから」


ケンゾウが針のように細く繊細な武器を数本投げ、いや銃のようなもので飛ばして来たので急いで避ける。

速いうえに細すぎてほぼ視認ができなかった。光の反射が無ければ、気づかなかっただろう。

まぁ速さ凄まじいとして、ATKは1000なのでそれほど高くは無いのだが。

なら何故避けるのかって? チラッと見たときに『鑑定』したら『固定ダメージ』のアビリティが付与されてたからだ。


一発で確実に1000のダメージを受ける。今の俺のHPならすぐに回復するしどうってことないが、この場には『平和』の暴力を振りかざす理不尽の権化がいるからなぁ。

ついうっかり平和リセットされてHPが100になった時に食らったら一発アウトである。


誰だよあの人とチーム戦やろうとしてた奴。怒らないから手をあげろ! 俺だよ! ごめんなさい!

お願いだから『限界破壊』ちゃんカムバアアアアック!


「逃げてばっかかぁベル! 『限界破壊』はどうしたぁ? なに考えてっかしらねぇけどよぉ、よそ見してっと串刺しだぜ? 『作品羅列』」

「うっせぇお前だって逃げてばっかだろ! 人のこと言えた義理か! 『アビリティセンス』!」


使用できる最後の特別(スペシャル)アビリティを発動し、俺の真上に突如出現し降り注ぐ鈍器たちの向きや体制から動きを読み取りことごとく回避する。


「『武具収納』じゃなくて『作品羅列』を戦闘に使うとか、さてはお前、バカだろ!」

「なに言ってんだ鍛冶職人の戦闘スタイルにこれは欠かせねえだろおよ。こんな有能な直接攻撃系のアビリティ珍しいぞ」

「アホ! 商業アビリティだっつーの!」

「チッ、あたんねぇな。『ロックオン』!」

「おっそろしいコンボやめろや! 『隠蔽』! 『隠密』! 『妨害』! 『対象認識阻害』ィイ!」


必死こいて自分を隠したよ。

この距離でしかも見られてる状況で『対象認識阻害』はケンゾウには効果がないが、アビリティ効果を阻害することはできそうだ。

まぁ妨害の方がレベルが高いから、そっちが優先されてそうだけど。

『ロックオン』発動から一定時間、ロックオンの対象とした相手しか攻撃できなくなる代わりに、自分の攻撃が100%相手に命中する。

無理ー! 俺も前もってたけど、まぁゲームの100%とか絶対とかいう言葉は適当だからな。『必殺技』と同じさ。『必ず殺す技』と書いて必殺技。必殺技一回当てたらwinnerとかクソゲーすぎる。確率なんて簡単に操作できるのだよ。


「よっほっ! あらよ!」


しかし防戦一方ではいけない。避けながら隙を見てはこちらも負けじとナイフを投擲する。


「『収納』……ん? ………………まぁまぁの出来だな。及第点か」

「何事もなかったように回収して、こんな時に『鑑定』するとか余裕だな。隙だらけだぞ」

「ベルにだきゃあ言われたくねぇな。鑑定しすぎてプレイヤーの店から出禁申し渡された大ボケのくせによぉ」

「ふんっ! その程度どうってことないわ!」

「だろうな。『検索』のしすぎで『覗き魔』という称号をお前が手にしてしまった時に比べれば……」

「なんでお前がそれを知ってるんだよぉぉぉおお!」


それのせいで女性プレイヤーから俺がどんな目を向けられたかわかるか!

どこで情報を仕入れたのか目が笑ってない満面の笑みでミルクルさんに追いかけ回された俺の気持ちがわかるか! EGO全土に血の雨が降るとこだったんだぞ!

仲良くなったばっかりのマニコにまるでこの世で最も汚らわしい物を見るかのような目を向けられた俺の気持ちが! 変な扉開きかけたんだからな!

心なしかゴールドとピンクが言うこと聞かなくなったし!

内緒にしてたのに!


[マスター。現状を報告します]

「あ? ミルの相手はどした」

[個体名ミルクルのアビリティ効果により一時的に戦線を離脱しました。私トクシキの破損率34%、自己修復機能を加味し、現状維持ですと今から約12分57秒03に戦闘不能状態に到達します。武装の一部制限解除とリミッターの解除を要求します。尚、現在イッシキの破損率98%、一度完全破損、および機能復帰を感知しましたので春刀の効果はすでに使用済みであることが予想されます。『リミットブレイク』『熱暴走』その他《花刀解放》の反動で何もせずとも1分待たずに機能を停止します。ニイテンゴシキの二人の破損率がエラーをおこし感知できません。マスターとの接続を切断されている模様。『内蔵バッテリー』アビリティで機能停止には至っておりませんが、いつそうなるかの予測ができません]


特に外傷も見当たらない純白のバトルロイド『特式』がケンゾウの背後に突如現れた。

その言葉を聞いて、少し安堵するが、アオとミドリの状態を聞けていないためにを抜くこともできない。


「…………あいつら……無理しやがって……おいトクシキ、どうしたい」

[寝たいです]

「決定権を譲渡しないまま今すぐお前の動き操作すんのやめようか? ミルが寝かせてくれると思うが」

[…………じょうだんですよ]

「おい、今の間はなんだ」

[ちょっと、いや、アリかななんて思ってませんよ。本当ですよ。キカイは嘘をつきません]


だから戦闘中にコントやめーや!

つーか、おいおいケンゾウさんよぉ。でかい口あんだけ叩いたくせに、なーんか言ってることとちゃうんやないでっかー?


[マスター、もともとヘンテコな顔がよりおかしく……おや……ミルクルが移動を開始しました。到着まで56秒22。撃墜の為、早急にリミッター解除をお願いします]

「オーケー、『アップデ」

「やらせっかよ。『防御力還元』解除!」


強化アビリティの解除により、防御力に還元されていたHPとAGI数値が戻り跳ね上がる。

『限界破壊』のステータス強化がないから、一瞬の爆発的な機動力で不意をつくしかない。


「『ジャンプ』」


全力で地面を蹴り上げて、拳を握り振りかぶる。

ケンゾウの懐に潜り込むのではなく文字通り飛び込んで行った俺は容赦なく拳を振るった。


「―――ちぃ」

「『反射』ぁあ!」



ミドリのシリアスが終わって、ソロプレイヤーの番!

相っ変わらずのシリアスブレイカー。ふざけすぎだろ。真面目にシリアスやってたミドリとイッシキさんに謝れ!

さすが主人公! いいぞもっとやれ!

とはいえ次の更新からアオの場面。

まぁた、シリアスである。


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