高瀬一美(たかせかずみ)
室岡が行方不明となり。数日後……、
あまり使わないハンドバッグが災いして、中を見るのが遅れた……。中に見慣れない封筒を見付けていた、
━━この時の一美は、室岡からの手紙だと理解して。慌てて広げ手紙を読み進める内に……、
ゾワリ肌は粟立ち。顔からサッと音を立てて、血の気が引いていた。指先はゴツゴツした中身に触れる。「鍵?」
これって確か……、新聞社のロッカーの鍵である。何でそんな物が?、疑問はあったが、
翌日早めに出勤して、ロッカーの中身を調べ。そして……、ゲラを見つけていた。内容を呼んでくうちに、今度こそ室岡さんが行方不明になった理由を知った。
デスクが入社して直ぐに。一美は内密に話があると室岡の手紙を見せた。
「少しよろしいですか?」
別の部屋で改めて、ゲラを見せ、内容を読み進める内に。険しい表情を隠せず。眉間に皺を寄せながら。
「高瀬……、このまま進めて、原稿を仕上げろ」
「!?、本気ですかデスク……」
青ざめた顔の一美を。睨むように見上げながら。
「まだ、室岡がこいつのせいとは言えない……」
確かにデスクの言う通りではある。一方で室岡さんが、何の理由もなく失踪したとは思いたくない。いや思えない。それはデスクだってわかってるはずだ。
「高瀬忘れるな、俺達はブン屋だぜ?。室岡のこと思うなら。記事を物にしろ!」ハッとした。確かにそうだ……。
自分が室岡さんの代わりに。記事を書かなくてどうする。固い表情だが。目の色が変わっていた。
高瀬はそれから同期の三鷹と二人で、デスクが持ち込んだ。オカルト雑誌に載った。記事内容の裏取りに。
東京某所に来ていた。情報提供者が、人通りの多い大通りの喫茶店を指定したからだ。現れたのは三十代後半の疲れた顔の男である。男は仮の名を口にした。
「では高橋さんは、直接『口裂け女』を見た訳では無いんですな?」
三鷹の質問に小さく頷き。ぽつりぽつり脚色される前の『赤い人』を。どうして知ることになって、情報提供者になったか……、理由が明らかになった。彼の姉夫婦と息子が、例の熱海のアパートに住んでいて。助けを求める中村親子の声を聞いたから。警察に通報したこと。問題の部屋に駆け付けた姉夫婦は、扉を開けて、鏡の中に消えた。赤いレインコート姿の女を見たこと。鏡の中から目が合ってしまったこと。
「姉夫婦は……その事件から3日後……、甥を残して失踪しました」
知らず知らず。ゴクリ唾を飲む三鷹。無論高瀬だってそうだ。二人は顔を見合せていた。
「それ以来『赤い人』が、甥を狙って、現れるようになりました……、偶然ですが、怪異を回避する方法を甥が見付けていて。我々は助かりました」疲れはてた顔を恐怖に歪めながら。ある霊能者に別の固有名を着けて、怪異の力を弱める方法を教わり、雑誌で『口裂け女』を発表したと言う話しだ。
高瀬が読んだ記事の内容では、月のない夜道を歩いてると。しとしと雨が降り始めた。人通りのない道。後ろから足音だけが着いてくる。あまりにも足音が耳に付くから。後ろを振り返るも、誰もいない。不振に思いつつ歩き出すと。再びコツコツ足音がどんどん近付いて来て、振り返るが、やはりだれもいず不気味に思っていると。人影があって安堵して、
「あの~」
赤いレインコート、赤い傘を座す女の人に声を掛けてしまう。
「どうかしました?」優しい声に安心してか、足音の怪異を話し出した女に。黒髪のレインコート姿の女は、顔を下に向けて、おもむろにマスクを外していた。
「そうでしたかそれは大変でしたね。貴女……きれいな顔をしてますね」
「はっはあ~、ありがとうございます」 戸惑いつつも。誉められて嫌な気持ちにならない。
「私、きれい?」
顔を上げたレインコートの女の顔を見て、女は絶叫して逃げた。それが雑誌の『口裂け女』である。
しかし内容はある方法で助かること。ただ女性や子供を脅かし。返事をした者。顔を見た者を追いかけて来て、口を裂けさせる。最悪行方不明になるとこと。怪異の力を制限させてる点が、確かに気になった。「その霊能者のこと教えてくれますか?」
「はっ、はい……」渋々であるが、同僚が行方不明になってること伝えるや。
「どおりで、彼女の影を見かける訳ですね……」
意味深な言葉に眉を潜めていた。
二人はその足で、新宿にある雑居ビルの三階にある。何でも屋を訪れていた。当時探偵事務所など珍しい時代。ちょっとした人探し。またガードマンの仕事を個人で受ける。モグリの会社が多かった。鴨居神武の表札がある。無論本名ではないだろうが……、




