5
今日行われる夜会は、王族主体の大きなものたらしい。
さっき知ったが、お父様は宰相で王族とは血縁関係らしく、叔母である王妃様が是非会いたいと強く願っていると聞いた。
ーー先に言えよ、お父様。覚悟いるじゃん。
フレイヤは赤を使ったタキシードを着ている。
白の上着に所々赤の縁が入り、模様の入った臙脂色のベストを。ズボンは深紅の色で、シャツは白。主張しすぎない赤と鮮麗された白が良く似合う。
「やっぱりフレイヤには赤が似合うね。」
「選んだかいがありましたね。」とムト。
「おにいさま、きれいです。」
「ありがとう、フレイヤ。フレイヤも可愛いよ。良く似合っている。」
その言葉にフレイヤが嬉しそうに笑った。
~~~っ!可愛い‼
思わず抱きしめようとしたら、ムトに肩を捕まれて止められた。
「もう出なくてはいけないので、服を乱すようなことは避けてください。」
「分かってるよ」
僕は少しムッとした顔で諦めた。
ーーちょっとぐらいだったら大丈夫だよ。
でも、ムトの言ってることは正しいので、今は諦めることにする。フレイヤ可愛いリボンが崩れて使用人の手を煩わせる訳にはいかないから。
一先ずフレイヤの頭を崩れないようにそっと撫でる。
因みに、僕は藍色の上着にグレーのベスト。白のシャツとズボンに青の差し色が入ったシンプルなタキシード。一括りにした銀髪が青の上着に映える。
基本的に青ばかりだが、それなりに気に入っている。
「ムト、アルは?」
「大丈夫です。いますよ。元々風ですから、見えないでしょう?」
「良かった。今日は頼むよ。」
「はい。」
王城はまるで、モン・サン・ミシェルのように広い湖の中央に佇んでいる。大陸と湖に存在する島を結ぶ橋を渡ると、真っ白な美しい城と広大な庭。その前には学園が位置している。
学園は10-16までの貴族の子供が集まる場所。平民からも、優秀であれば特待生枠として入学出来る。ここは貴族社会を作る基盤となる場所。
ここはいつも美しく保たれ、まるで、庭で茶会をしているような気分になる。日が沈めば、湖のほとりに住む蛍のような魔獣が木々に光を灯すため暗くなることはない。尚且つ幻想的な風景にしてくれるのだ。
「まあ、マクルート公爵よ。」
「珍しいわね。」
「相変わらず御美しい。」
「まあ、天使のような御子よ。まるで、幼い頃のアリア様とユラン様にそっくりだわ。」
「なんて美しいのでしょう。」
「そういえば、聞きまして?第二王子が……」
「ええ、何でもーー」
この時、奥様方の話しが聞こえていたら、何かが変わっていたかもしれない。
不穏な空気はすぐ近くに迫っていた。




