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広く落ち着いた青を基調とした部屋には一人の男の子がお茶をしていた。
【ネイ】
「何ですか?」
【いつになったら私と契約しますか】
「しないよ、これからも」
【何故】
「君は高位だろう?君が僕につけば、僕はずっと窮屈な思いをする。それに、君は僕を殺すだろう?」
【違います】
【肉体の消滅です】
「……同じだよ」
【いいえ】
【死ねなくなります】
「嫌だよ。それに、どのみち人ではなくなるってことでしょ?そんなことになったらフレイヤと遊べない。それに僕には公爵家長男としての仕事があるんだよ。君達のお気に入りになるつもりはないんだ。ごめんね。」
【そうですか】
【また来ます】
【何かあったら呼んでください】
「分かったよ。ありがとう。」
けれど、君達を呼ぶようなことがないことを祈るよ。
【そういえば、人が精霊の鐘を盗んだようですよ】
******
「夜会ですか?」
それは突然のことだった。
話しは聞いていたが、あまり話題に上がらなかった為、存在を忘れていた。
お父様に呼ばれ、何かと聞けば、来週に行われる夜会に行こうと言うのだ。
「そうだよ。ネイも5歳になっただろう?そろそろ、マクルート公爵家を継ぐものとして御披露目しないといけないからね。」
「はい。お父様。それは分かりますが、何故突然に?」
「本当はもう少し後にしようかと考えていたんだよ?けれど、君は人見知りな所もあって、あまり外に出たがらないだろ?だから、少しずつ馴れなければいけないからね。僕も夜会は苦手なんだけど、大切なことだから。今回はあまり長居はしない予定だから、気負わなくていいんだよ。」
「はい」
そうだ。僕は人と話すのが苦手だ。ムトが来たときも馴れるのに1ヶ月かかった。フレイヤやお父様以外が近くにいることが怖いのだ。これは、人見知りではなく、対人恐怖症の一種だと思っている。前世、私・を殺した人の顔が頭から離れない。とても恐ろしい顔をしていた。いつから、僕は弱くなったんだろう?
「おにいさま」
可愛らしい声が聞こえて振り替えると、そこにはフレイヤがいた。僕は手を伸ばし、そっと抱きしめた。
フレイヤがいる限り大丈夫。
「フレイヤ。どうした?」
「やかいにぼくもいくっておとうさまがいってました。やかいってなんですか」(夜会に僕も行くってお父様が言っていました。夜会って何ですか)
「夜会は僕達のような貴族が交流の為に話す場所だよ。フレイヤも行くなら、自己紹介はある程度練習しよう。あとは、僕かお父様の側にいればいいからね。」
「はい。わかりました。」
「新しい友人が出来ればいいね」
「ぼくにはおにいさまがいればいいです。」
うわー。可愛い可愛い。うちの子天使。大好き。
ネイはやや暴走気味にフレイヤを抱きしめながら、今後の予定をたてていた。
さてさて、新しい服を作らなくては。フレイヤにはとびきり可愛いのでいこう。フレイヤの瞳と同じ赤を使ったものを。
……僕のは先日作ったものが沢山あったから、その中から適当に選ぼうか。
「ムト、ムト。アルちゃんいる?」
「今呼びます。《アル。ネイ様が呼んでいる。来い。》」
「呼んどいてなんだけど、そんな呼び掛けでいいの?」
《まじ?!ネイ!ネイ!呼んだ!》
「いいのか。」
現れたのは灰色の猫だった。この猫はムトの召喚獣で名前をアルと言う。
この年齢で召喚獣を持っているのは凄く珍しい。何故なら、召喚するときは明確な願いがなければ、それに答える獣が現れないからだ。
因みにアルは高位魔獣で風の魔法を使う。
「呼んだよ。ごめんね。急に。君の予定を聞きたいと思って。」
《予定?毎日暇だよ。》
「そうなんだ。」
それってどうなんだろうとは言うまい。
「実は護衛の依頼をしたいんだ。」
「ネイ様!私では不満ですか?駄目な所があれば言ってください!全部直しますから!」
「落ち着いて、ムト。君に不満はないよ。実はフレイヤの護衛を頼みたくて。」
「《なーんだ》」
仲良しだな。声が揃った。
しかし、2人して酷い。
「なんだとは何だ。僕にはムトがいるけど、フレイヤはいないんだぞ?あんな可愛い子は直ぐに誘拐されてしまう。という訳で、風になって見守って欲しいんだ。」
《いいよー。でも、ネイも可愛いよ》
「ありがとう。しかし、フレイヤ以上に可愛い存在は世界中探してもいない。僕は普通だよ。お母様に比べれば全くだ。」
((いやいやいや。あんた自分の顔見たことないのかよ。))
そう、心の中で呟く二人だった。
ネイはそんなことなど、お構い無しに予定を言っている。
「来週、夜会に出席することになったから、フレイヤに見つからないように側にいてほしい。頼むね。」
《ガッテン。じゃあ、またね。》
「うん。ありがとう。またね。」
因みにムトが召喚する時の願いは
『ネイ様を命をかけて守ると誓う者』
だったりする。
また、アルの名前はネイディアルのアル。
『ネイ様の字を持つお前は俺よりもネイ様を優先させろ。』
という規約のもと契約されていた。
言われるアルも≪了解であります≫と心良く受けていた。
ムトはネイ様至上主義で、ネイ様ファンクラブを密かに作っていたりする。彼は内気ラブで微ツンデレなのだ。
知らぬは本人ばかり




