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「宝石も領土も金も要らない。名誉も名声も求めない。これほど喜んでくれるのが『知』なのか……」
あまりにも許可証に夢中になりすぎて、王子の呟きを全く聞いていなかった。
王子相手に「今、なんとおっしゃいましたか? 聞き逃しました」なんて言ったら、怒られるに決まってるよ。
私ってば、時々身分が低いことを忘れちゃうんだよね……! そういう所が玉に瑕!
…………いや、逆に私は強い以外の全てが欠点かも。
まぁ、王子の声のトーン的に独り言っぽかったからセーフでしょう。
「エワット特別自治区にはいつ行けますか?」
私は話題をもう一つの報酬の話へと話題を変えることにした。
王子は少し間を置いてから「一週間だ」と答えた。そして、彼は話を続ける。
「エワット特別自治区に関して学ぶのに必要な期間がそれぐらいだ。一週間後にエワット特別自治区へ案内しよう」
「え、殿下も一緒ですか?」
「ああ、そのつもりだが、嫌なのか?」
「このクソ忙しい時期にお出かけになられるのですか?」
私の驚きに王子が言葉を返し、間髪を入れずにセスの声が聞こえてきた。
疑問文が一気に三つ並んだぁ……。なんて馬鹿なことを考えていた。
「本日のご公務もまだ残っております」
セスは追い打ちをかけるように王子にそう言った。
……そんなに忙しい中で、すぐに私に時間を作ってくれたんだ。……本当に突然押しかけたのに。
「言われなくても分かっている。仕事モードを解いてしまうわけには行かないから、ケイトを前にしても簡単に口説けない」
え、は? え? くどく……?
きっと聞き間違い。
私はスッと目を閉じて、今の王子の言葉をなかったことにした。これ以上、王子に私の調子を狂わされては困る。
「何を瞑想しているんだ、ケイト・シルヴィ。……お前を責めるつもりはないから、殿下をどうにかしてくれ」
セスの強い声色が後半から懇願に変わっていた。
私は目を開き、セスへと視線を向ける。
なんだかセスが苦労人に見えてきた。王子もとんでもなく大変な立場なんだろうけど、セスの仕事も想像を絶するほど大変なのだろう。
私はゆっくりと王子の方へと視線を戻した。
……生まれながらの高貴さを纏った美しさ。「殺戮の天使」と言われている私とは住む世界が違う。
どうにかしろって言われても、どうすればいいかは私が一番知りたいよ。
「私の最も気に入っているところはどこですか?」
「顔」
即答だ~~~。
嬉しいけど、なんだか複雑な気分~~。
質問をミスったかもしれない。お忙しい王子様に質問できる機会なんてあまりないだろうと思い、気になっていたことを聞いたけど、まさか「顔」と答えられるとは思わなかった。
ドキドキよりもビックリが勝って、心臓の動きがトゥンクじゃなくて、ドックーーン! だよ。
「君は自分がひときわ目を引く美貌だということを自覚していないだろ?」
「はい?」
続けて発せられた王子の言葉に私は首を傾げた。




