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「今の俺の答えで、己の容姿が美しいともっと自覚してくれ」
「ええぇぇ?」
私は困惑した感情をそのまま口にした。
自分の外見がなんと言われているかは、なんとなく噂で知っていたけれど、面と向かって言われると、どう反応したらいいのか分からない。
それも王子に……!!
セスは眉をひそめて狼狽える私のことなどセスは無視して、王子の近くで耳打ちする。
「殿下、そろそろ行きませんと……」
きっと王子は常人なら音を上げるほどの仕事量を平然とこなしているだろう。
前回、私に依頼した量も王子にとっては通常なのかもしれない……。普通に考えて、あれは一気に人に与えていい量じゃないもん。
「ああ」
王子は若干嫌そうな返事をして、私ににこやかな笑みを浮かべる。
「休暇は何をしているんだい?」
あ、まだ会話つづけるんだ……。後ろのセスの表情が怖いよぉ……。
王子に話をふられたとなると、私は答えるしかない。
「特に何もしてません。一緒に遊ぶような友達もいないですし、ただ家で幸せに過ごしていました。……けど」
そこまで言って、私は少し間を置いた。王子が「けど?」と小さく首を傾げる。
私はゆっくりと話を続けた。何故か王子相手だと、素直に感情を口にしてしまう。
「とても退屈でした。遊び方を知らないので……。戦場に出ている時の方が生き生きしているのかも」
私はそう言って笑いながら、聖女という運命は私の人生を退屈させないな、と思った。
休暇の使い方はいつも遅くまで寝て、鍛錬するということが多い。
だけど、今回のような一人……いや、レイもいたか。二人だけの長期遠征なんて初めてだったし、通常の数十倍もの量の仕事量だったから、今回の休暇は心身ともに休もうと、「スーパーバカンスにするぞ!」の意気込みだった。
…………が、何をすればいいのか分からない。
盲点だった。バカンスなんてしたことないんだよね。
だから、家でゴロゴロという幸せだけど退屈な時間を送ることになってしまった。
「俺もだ」
私は王子の口から出た言葉に「え」と驚きの声を出す。
…………俺も?
「俺も誰かと遊んだことなど一度もない」
そりゃそうだよね……。
贅沢はできるけど、窮屈に決まっている。けど、それはきっと王子が良い王子だからだろう。遊興ばかりに明け暮れる王子だっているもん。
「だけど、君のおかげで人生が彩った」
「私?」
「そうだ。俺がここまで成長できたのもケイト・シルヴィという存在がいたからだ。クソ面倒くさい山のような公務も君に会えるための踏み台だと思うと、苦にはならなかった。だから、俺の人生を退屈させないでくれてありがとう」
王子の澄んだ声が優しく耳に響き、胸の奥が熱くなる。




