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おおぉ、なんかかっこいいじゃん……。
私は弟の言葉に感心して、思わず手に持っているサンドイッチを落としそうになる。なんなら、タマゴは少し落とした。
「私は納得いきません。ケイト様もジェフリー様も疎まれる要素など一切ないのに……」
「ワンワン? (俺は?)」
君は結構あるよ。
クリフの鳴き声の意味はミミには伝わらず、スルーされてしまう。
本来なら、ミミが一番人間を恨んでいるはず。それなのに、彼女は自分のことよりも私たちのことを心配してくれている。
「昨日、第一王子と会って思ったのですが、彼はどこまで私たちのことを把握しているのでしょう……」
「というのは?」
不安そうなミミにジェフリーが聞く。
「スネークマンの存在が知られてしまいました。……私たちの住処を探し出し、襲撃するのかと思っていたのですが、そんな様子は一切なく……、むしろ、こちら側というか……。故郷で聞いていた王族のイメージと違っていて……」
あの王子はむしろスネークマンを貴重な種族として保護しそうだけど……。
少しずつ王子のことが分かってきた気がする。一晩ぐっすりと寝たおかげで、随分と頭が冴えている。
キラキライケメン王子は優雅で人当たりのいい微笑みまで完璧だが、とてつもなく計算高く、頭の回転が速く賢い。それに、腕まで立つだろう。
クリフの殺気に顔色一つ変えなかったんだもん。……底知れない。
「これから、拷問で住処を聞かれたりするなんてことは」
「「ない」」
私とジェフリーの言葉が重なる。ジェフリーは更に言葉を加えた。
「拷問するつもりなら、ここに帰してないよ」
「まぁ、ミミのことは守るから安心して」
「ワンワン? (俺のことは?)」
私の方を怪訝そうに見るクリフを私は無視する。
聞かなかったことにしよう。聖女が魔族を守るなんて聞いたことないよ。
ジェフリーが意外そうに私を見ていた。ミミも私の隣で固まっていた。私は「どうしたの?」と軽く首を傾げる。
「いや、なんか姉さん変わったね……。守らなければならない人を増やすの嫌なタイプじゃん。仲間とかそういうのを面倒くさいと思ってなかった?」
「それはもう本当にそう」
「では、なぜ……」
私が激しく頷くのに対して、ミミは目を丸くしたまま口を開く。
「ここまで連れてきちゃった責任かな~~。賑やかな食卓も悪くないし……」
「勝手についてきたのは私の方なのに」
「後、伝説のスネークマンに興味があったから! ジェフリーと一緒!」
少し気恥しくなって、私は声を大きくした。
スネークマンの存在に興味があったのは本当だもん。何も嘘は言っていない。
「僕と一緒にしないで」
「さっきスネークマンについてあれほど楽しそうに話してたじゃん」
「うッ……、それはそうだけど……」
ジェフリーが言葉に詰まる。私たちの様子を見て、ミミはどこか嬉しそうに柔らかい笑みを零した。
「私、お二人のお役に立てるように精一杯頑張ります」
正式にミミの主人になるのはまだ早いと思う。これからもっと多くの人たちと会った後で決めてほしい。もしかしたら、私よりもミミの主人にふさわしい人が現れるかもしれない。その時は、快く彼女を送り出そう。
いつか離れてしまう運命であっても、私は彼女と巡り会えたことを、心から幸運に思った。




