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……これは本当に休暇なの?
朝から我が家の食卓を見て、目が完全に覚めた。あくびすることすら不完全燃焼のまま、目の前の光景に固まってしまう。
ゆったりとジェフリーの作る朝ご飯を寝ぼけながら食べて、段々脳が覚醒してきた頃に久しぶりに読書なんかして過ごそうと思っていたのに……。
こんなの私の望んでいた休暇じゃないよ。…………なんでこんなに食卓が賑わってんの?
昨日王宮を出る前に犬に戻したクリフにマントを被ることから解放されたミミが食卓に座って楽しそうにジェフリーと会話している。……クリフは会話に参加できてないけど。そのくせに、彼は自分の家のようにくつろいでいる。
この家に来た日はミミは遠慮して、我が家の隣に作った小屋で静かに過ごしていたのに……。
クリフだって…………、まぁ、彼は最初から結構この家に馴染んでいたかも……。
「ジェフリーーーー、なにこの状況~~~」
私は、おはようの前に落胆の声を発する。ジェフリーは私の方を向き「あ、姉さん、おはよう」と爽やかに返す。
この弟は私が不機嫌だということを察していないのか?
「今、ミミと話していたんだ。彼女の故郷は凄いんだ。静かで閉鎖的で、皆ルールに従って生きる。『誰かに仕える』という本能に反して生活しているからか、気が立っている時期が年に一度やってくるらしい。その時期に暴走してしまうスネークマンもいるみたいで大変なんだって」
ジェフリーは目を輝かせて、スネークマンの住処について楽しそうに話す。
こんな饒舌になっているジェフリーは珍しい。なんか私が寝ている間に、随分と仲良くなっている。
というか、ジェフリーこそスネークマンと魔族に対して普通に接しすぎじゃない? 環境適応早くない?
一応、人間が迫害した種族と人間の敵の二人だよね。
もはやここまで来たら人間が悪いんじゃないかって思えてくるよ。聖女は魔族じゃなくて人間を殲滅した方がいいのかもしれない。………………おっと、寝ぼけているあまり、危険な発想に飛んじゃった。
「色んな話を聞けて良かったね~~」
私は姉らしくジェフリーににこやかな表情を向けて、席に着く。
隣にミミ、前にはクリフ、斜め前にはジェフリーという構図だ。一気に家族が増えてしまった。……二人のことを家族って言っていいのか分からないけど。
「厄介者が集う家になっちゃったよ。……そのうちジェフリーまで世間に疎まれちゃうんじゃない?」
私は机の上にあったタマゴサンドイッチを頬張りながら、ジェフリーへと視線を向けた。
ジェフリーは人望もある優秀な騎士だもん。姉が聖女で可哀想って世間に思われているほど。
「勝手に疎ませときゃいいんだよ」
ジェフリーは私の言葉を一蹴するようにそう言った。




