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クリフは訝し気に私を見ながらも話題を変えた。
「あの王子様、直接俺たちと会って確かめたかったんだろうな」
「……確かめるって何を?」
「お前にとって俺らが害のない奴らかどうかだよ。お前は随分と愛されてるな」
…………愛されている。
クリフの言葉が脳内に響く。彼は「そうだろ?」とレイへと視線を移す。
「まぁ、おおよそそんなところだ」
レイも否定しないの……?
王子がどうして私をそんなにも気にかけてくれているのかがさっぱり分からない。
私、いつも王命に逆らっているし……。王子と出会ったのは最近だし……。彼の利益になるようなことを特にしていないし……。
「ちょっと前まであんな感じじゃなかったのに~~」
私が頭を抱えていると、レイが口を開いた。
「俺も不思議だ。殿下がお前のような女を」
「いつも通り失礼な男だね」
私はレイの言葉に被せるようにそう言った。
近くにいたレイですら王子の言動を不思議に思ってるぐらいだもん。私の脳が爆発寸前なのは当たり前だよ。というか、もう爆発した後かも……。
バイバイ、私の脳。
「それにしても、ケイト様を追放したいだなんて本当に腹立たしいですね……」
あ、ミミが喋った……!!
ずっと黙っていたミミが口を開いた。その突然の出来事に私は驚いて彼女の方を見る。膝の上に置かれていた彼女の手は怒りで震えていた。
王子もミミも私よりも怒ってくれている。
改めて、嫌われ憎まれることが当たり前になっていたんだと認識する。
「みんなして私に何らかの罰を与えたいんだよ」
「そんなのおかしいです!」
ミミは勢いよく私の方へと体を向ける。彼女の目にも怒りが滲んでいた。
「ケイト様は聖女です。本来なら、崇拝され感謝されるお立場……。それなのにこんな扱いを受けるなんて……」
「まぁ、それは俺も同感だな……。お前が本気を出せば、この国を滅ぼすことなど簡単だろう? その脅威を民衆どもに教えてやった方がいい。そしたら、誰も何も言ってこなくなるだろう」
ミミの言葉にクリフが賛同する。
クリフの考え方は随分と魔族寄りだけど、確かにそうだよね~、と思う自分もいた。
「別に民衆を怖がらせたいわけじゃないからね~~。ほら、聖女って寛容だから! 大海原よりも広い心の持ち主だもんッ!」
私はそう言って、両手を大きく広がて、いかに私の心が大きいかを身体で表す。
「そのメンタルを見習わないとな」
「アホか。強くならざるをえなかったに決まってんだろ。この世界を救ったって誰にも感謝されない人間どものために戦い続けている身にもなれ」
レイの発言にすぐさまクリフが声を発した。
私はクリフの言葉に思わず目を丸くしてしまった。……本当に魔族だよね?
レイはすぐに「そうだな」と申し訳なさそうな顔を浮かべた。……本当にレイだよね?
私を庇うような言い方をするクリフと、クリフの言葉を素直に受け入れるレイ、どっちも怖い。きっと、全部この遠征のせいだ。
今すぐ帰って眠りにつきたい。今日だって休みのはずだったのに、突如王宮に呼び出されたんだもん。 もうヘトヘトだよ。
たまには聖女に休暇をちょうだい……!!




