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王子はまさかクリフがそんなことを聞いていたなんて思っていなかったのだろう。目を丸くして、言葉を失っていた。
まぁ、その反応になるよね~~。まさか魔族が突然割り込んできた内容がそんな質問だとは思わないよね~~。
私は心の中で頷きながら、王子の言葉を待った。
その瞬間だった。ドンドンドンッと激しく扉を叩く音が部屋に響いた。
…………いいところで!! 誰だよ!!
王子の許可を待たずに勢いよく扉が開く。先ほどまで顔を真っ青にしていたセスが慌てた様子で口を開いた。
「大変です! 議会で『聖女責任追及決議案』が出されたそうです!! 至急こちらに」
セスが全て言い終える前に王子は「は?」と顔を激しく顰めた。セスの言葉に心の底から嫌悪感を示していた。空気が一瞬で張り詰める。
あれ? この部屋、心なしかひんやりと……。
王子の反応にセスの顔から血の気が引く。それでも、セスは冷静さを保ち、言葉を発した。
「民からの聖女の追放を求める声が多く形だけでもその声に応えようとしているようです……」
「クソ貴族どもは馬鹿なのか? あいつらが聖女の恩恵を一番受けておいて、聖女の責任追及だと? 発議者とその案に賛成したものを殺そうか」
声が本気だよ……。てか、王子が言うと本当にできちゃうよ……。
自分が追放されそうなのに、王子が怒ってくれているおかげで自分の感情が乱れることはなかった。
「実際に追放する気はないようですが……」
セスは王子の高ぶった感情を鎮めるためにそう言ったが、王子は舌打ちで返す。
あら、キラキラ王子の意外な一面……。これがいわゆるギャップてやつ!?
「愚民どもめ」
王子が国民に対してそんなこと言っちゃダメでしょ。
「ほら~~、やっぱり~~。私は嫌われ者だぁ」
私が軽く笑うと、王子の鋭い視線が私へと向けられた。
え? 私にまで怒ってるの? なんで……!?
「笑うな」
その低い声はどこか切なさが滲んでいた。
私をまっすぐ見つめる王子の鋭い視線は「笑って感情を誤魔化すな」と言っているように思えた。
……もしかして、心配されてる?
「私、強いよ?」
「強いからと言って傷つかないわけではない」
私は何も言えなくなってしまう。
そんな私を見透かすような目で見ないで……。これ以上、私の心に入ってこないで……。
「殿下、そろそろ……」
「ああ、分かった」
セスの言葉に王子は促され、席を立つ。私はそれと同時に「この二人は?」と口を開く。
スネークマンと魔族について色々と話を聞くために私たちはここに連れてこられた……はず。全くその話はできなかったけど。




