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「殿下のお言葉には大きな責任が伴うのですから、発言には気をつけましょう。誤解を招きますよ」
「……君は誤解しないのか?」
まるで私に誤解してほしいような口ぶりッ……!!
王子のどこか余裕な口ぶりに私は頭を抱えてしまう。
王子のことを詳しく知っているわけじゃないけど、前回の王子とは大違いだよ。
私に色仕掛けでもしてるの? いや、王子は色仕掛けされる方だよね。
「ご自分がこの国の第一王子だと言うことは理解していらっしゃいますよね?」
「理解した上で話しているさ」
「……私は嫌われ者だと自覚しています。誤解などしません」
私の言葉が気に入らなかったのか、王子は眉間に皺を寄せた。
…………今日、ミミとクリフについて真っ先に詰められるかと思っていたのに、想像と全く違う話になってる。
というか、ミミとクリフについてあれこれ聞かれる方が楽だったかも……。今、かつてないほど脳内がテンパっているもん。
訳が分からないよ。もはや、王子が誰かに脅されているとしか考えられなくなってきた。
「ずっと嫌われ者のままでいるつもりか?」
「今更、民衆の思考は変えられませんよ」
嘲笑する私に王子の眉間に更に皺が寄る。
「というか、殿下は一体私を何から守ってくれるんですか?」
「君に向けられる全ての悪意からだ」
私は言葉を失い、瞬きを忘れ、目を丸くした。
王子の私を射抜くようなその目から視線を逸らせなかった。一点の曇りもない赤い瞳に吸い込まれそうだった。
……本当、何この王子。
「一体どうしちゃったんですか、殿下……。突然現れて、私を守る……?」
王子の望みが分からない。これからも聖女の力を利用したいから? 私に謀反でも起こされたら困るから?
普段言われることのない言葉を言われて、王子の言葉を素直に受け取れない。いつもよりもずっと疑い深くなってしまっている。
「ワンワンワン?(お前はこの女に恋をしてるのか?)」
ずっと眠そうにしていたクリフが突然口を開いた。
この状況に割り込めるのはあんただけだよ、クリフ。流石魔族だよ。
突然鳴き声を上げたクリフに対してセスは一瞬で戦闘態勢に入ったが、レイが冷静に「大丈夫です」と声を発した。王子はセスの鳴き声には少しも驚いてもいなかったし、怯んでもいなかった。
一応、こんなモフモフの見た目でも中身は魔族なんだから警戒はした方がいいよ……。
私は心の中でそう呟きながら、改めてクリフの言った内容を思い出す。
――――王子が私に恋をしている?
「ないない。ありえない」
首を横に振る私に王子は訝し気な表情を浮かべていた。
「なんて言ったんだ?」
「あ、そっか、私以外には分からないんだった……。『真なる姿へ還れ』」
一時的にクリフの変化魔法を解く。
彼の周りに薄紫色のオーラが纏い、犬の耳と大きな尻尾は消え去り、人間の身体が形作られていく。




