83
…………まずい。今、私は王宮の応接間にいる。
それも、私一人でなく、ミミとクリフ付きだ。マントを深く被ったスネークマンに私の魔法によって犬に変化した魔族。……もう絶対に三人揃って極刑じゃん。
突如今朝、セスが我が家に迎えに来た。
開口一番「殿下がお呼びだ。聖女、スネークマン、魔族、三人とも」と言われた瞬間は思わず心臓が飛び跳ねた。それと同時に、話が回るの早くない? とも思った。きっと、レイが報告でもしたのだろう。
レイが私の監視役だったことは別にどうだっていい。肝心なのは私たちがどうなるか……。
私とミミとクリフは一つのソファに並んで座っている。ミミとクリフに挟まれている私は必死に心臓を落ち着かせていた。ミミはずっと落ち着いた様子だし、クリフはどこか眠そう。
……あんまり何も考えない方がいいのかも!
馬鹿な私の脳は二人の影響により、不安を強制的に追い払った。
ああ、そういえば、二人を連れて帰った時のジェフリーの反応は傑作だったな~~。
ミミとクリフについて紹介した後、ジェフリーは暫く固まってたもんね。ずっと理解が追い付かない様子で、困惑していた。
そりゃ、自分の家にスネークマンと魔族が住むことになるとは微塵も想像していなかっただろうからね。
昨日のジェフリーの反応を思い出していると、いきなり扉が開いた。
……眩しいッ!!
今日も変わらずキラキラしている。ハンサム王子のご登場!
これから王子と会う時は遮光性の強い眼鏡でも用紙しておこうかな。目がもたない。
「遅れてすまない」
王子がそう言ったのと同時に私はその場に跪こうとしたが、「そのままでいい」と制された。
王子は優雅に目の前のソファに腰を下ろした。彼の後ろにはいつも通りセスがいて、今回はレイも立っていた。
やっぱり、王子の駒だったんだ……!
「どうしてここに呼ばれたか分かるかい?」
王子が口角を軽く上げる。
なんか怖いよ~~。わざわざ私の口から言わせるなんて~~。
首をはねてもらうためです、なんて言えないよ。いや、裏を返せば、折角王子と話せる機会じゃん。減刑を交渉できるチャンスかもしれない……!
それに私は聖女だし! こういう時だけ「聖女」という立場をふんだんに使わせてもらわなくっちゃ!
私の心の中で、泣き言からポジティブな発想へと途中から変わっていく。
「全部顔に出てるぞ」
「え?」
「表情豊かな聖女様だ」
王子は柔らかな笑みを浮かべ、私を見る。
今思えば、王子は最初から私――「非難を浴びている聖女」に対して、嫌悪感を抱いていなかった。
「見事な働きぶりに感謝する」
王子は続けてそう言い、軽く頭を下げた。それと同時に彼の後ろに立ってたセスとレイも頭を下げる。
うそ……、まさか感謝されるなんて思ってもみなかった……。
私はその王子の言動に思わず目を大きく見開いて固まってしまう。




