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「ミミとの主従関係は……タイミングを見て……、ね?」
下手くそな濁し方だと自覚しながら、私はミミに対して笑みを向けた。ミミは不貞腐れた表情を浮かべる。
「私の方が絶対にケイト様のお役に立てるのに……」
クリフは別に役に立ってもらうために隷属魔法をかけたわけじゃないけど、ここは何も言わない方がいい。私はレイに助けを求めるように視線を送った。
絶対に助けを求める相手は間違っているけれど、今ここで頼れるのは彼しかいない。どうか話をずらして……!!
少し面倒くさそうな表情をしたが、レイは意外にもすんなりと助け船をしてくれた。
「この件は片付いた。次の依頼に潰そう」
レイの言葉に私は心の中で「ナイス! レイ!」と叫ぶ。私はミミを見ずにクリフへと目を向ける。柔らかい口調で声を発する。
「ほら、クリフもついて来るんだよ~~」
「ワンワン(犬扱いするな)」
「次の依頼も雑魚系?」
「まあな。お前にとったら朝飯前だろう」
「ワンワンワン!(俺は戦わねえからな!)」
私たちは次の依頼を処理するために歩き始めた。ミミはハッとして、すぐに私たちを追うように早足で近づいて来る。
「え、ちょっと、私の話は? スルーしましたよね? ケイト様と私が主従関係を結ぶ話、流しましたよね?」
ミミの言葉に私たちはとぼけながら、次の場所へと向かった。
♢
ミッションコンプリート~~~~!
ようやく王子から任された依頼を全て終わらせることができた。私は嬉しさのあまり、今さっき倒した魔物の上で飛び跳ねてしまう。
想像よりも早く片付けちゃったよ。三週間半であの量をこなすなんて、素晴らしい成績じゃない?
「魔物の上で飛び跳ねるな。魔物の血が俺らに飛び散る」
「いいじゃん。ようやく仕事が終わったんだから、少しぐらいはしゃがせて」
「……結局、私は覚醒できないまま」
「ワンワンワン……(聖女ってまじで強いんだな……)」
嫌な顔をするレイの隣で、ミミは俯き、クリフはじっと私を見ていた。
なんとも愉快な仲間たちだ。……仲間じゃないか。どっちかって言うと、連れ?
「さぁ、早く帰ってジェフリーのアップルパイを食べよう!」
私は片方の拳を空高く上げて、大声を出す。
ああ、待ち遠しい、アップルパイ……。心なしか、もういい匂いがするような……。
「この膨大な仕事を信じられねえ短期間で終わらせたっていうのに元気だな」
「ケイト様、本当にあっという間に次々と魔族や魔物を倒されましたね……」
「こんな奴に誰が勝てるっていうんだよ」
「誰もいませんよ、そんな人。魔王だって、きっとケイト様が倒してくれます」
私がアップルパイに想いをはせていると、レイとミミが話し始めた。失礼なのか、褒めているのかよく分からない会話だ。
クリフが「ワンワンワン!(魔王の力は最強だ!)」と言っているが、二人には通じていない。
はぁ……、魔王と戦う日なんてこないでほしい。勝っても負けても私はあの世行き。
「てか、クリフとミミはどうするんだ?」
思い出したようにレイは私に向かってそう聞いた。
…………たしかに。どうするんだろう、私。
何も考えていなかった。依頼を終わらせることしか考えていなかった。完全に“今回限定の旅の連れ”の感覚だった。
スネークマンと魔族……、どっちも存在が強烈じゃん。強烈の中でも超強烈だよ。
「あ~~、ん~~~、えっと~~」
「考えてなかっただろ」
レイに鋭い視線を向けられ、詰められる。私は素直に「うん」と頷くしかなかった。
「はぁああぁぁ。だと思ったぜ」
「王都に着くまでどうするか考えるから!」
私は慌ててそう付け加えたが、ミミとクリフは訝し気に私を見る。
レイは呆れたように「しっかり考えておけよ」と私に言い、私は「もちろん!」と張りのある声で答え、親指を上げた。




