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再び、あの大きな鐘の音が鳴り、食堂にいた者たちは、工場の方へと戻って行く。私たちは食堂の中に残った。
私は先ほどまでエワットが座っていた長椅子へと腰を下ろし、「う~~~~ん」と眉間に皺を寄せて考え込む。
ずっと気になっていたエワット特別自治区の内情は知れた。
だけど、どこかスッキリしない。
全てが無駄なく構築されているけど、難民の活用方法はもっと他にある気がする。
才ある者をここで埋もれたままにしておくのが嫌なのかも…………。全員どこか何かを諦めた目をしている。
先ほどの王子の話にオースティン付け加えてくれたけど、過激派が自国に戻されてから、他のエワットたちは一気におとなしくなったらしい。それ以後、一切反乱は起こっていないという。
まぁ、見せしめだもんね。自国に戻るぐらいなら……っていう恐怖が刻み込まれる。
「聖女様は何がご不満なんだ?」
エワットがいなくなった食堂で王子はマントのフードを外し、私に声を掛ける。
「不満はなくて……、素晴らしい体制だし…。ただ、なんかモヤっとするんです。ん~~」
私は頭を抱え込み、言葉を探す。
頑張れ、私の脳。今こそ、働く時だよ!
♢
「ふぁ!」
唐突に目が覚めた。
うっそ、マジで……。
我ながらに驚く。気づけば、椅子に座ったまま眠っていた。いつの間に意識を失ったのか、全く分からない。
「よくこの状況で寝れたね、姉さん」
ジェフリーが私を怪訝な目で見ていた。
弟のくせに! と思ったけど、今回は完全に私が悪い。非がある私は何も言い返せない。
いやぁ、まさか寝てしまうとは思わなかったんだよね。こういうところが、聖女への悪評に繋がるんだよね。意識改善していかないとねッ!
私は反省をせずに、心の中でウインクをする。
「起こそうとしたら、殿下が『眠らせておけ』ってさ。殿下が優しくて良かったね」
ジェフリーの私を責めるような口ぶりに私はその場に立ち上がって、王子に向かって頭を下げて、弱々しい声で謝罪する。
「すみませんでした」
「なにその腑抜けた謝罪の仕方は」
小姑ジェフリーめ。
私はチラッとジェフリーを睨み、もう一度、「ごめんなさい」と深く頭を上げた。
……本来なら、「申し訳ございません!」って大声を発しながら土下座しないといけないレベルだよね。王子の前で寝ちゃうなんて大失態だよ。
「俺は何も気にしていないから、謝罪は不要だ。むしろ、君の愛らしい寝顔を見れたのだ。その顔を独り占めできなかったことを除けば、幸運だったよ」
驚きのあまり声も出ず、ただ口だけをぱくぱくと動かす。眠気が完全に吹き飛ぶ。
なにその言葉……! しかも皆聞いてるよ!?
王子の言葉にオースティンは面白そうに「おぉ」と反応し、リンディは目を丸くしたまま顔を赤くする。ミミとジェフリーは段々私に対する王子の態度に慣れてきたみたい。適応能力が高い。
…………私も早く適応したいよ! このままだと心臓がもたない!




