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ちっとも良くない……!
労働後の食事とは考えられないほど質素な食事だった。全員同じものを食べている。
一つのプレートに豆の煮込みと少量の野菜だけが乗せられていた。働くために必要な栄養だけ……?
にしても、私だったら絶対に足りない量。
工場で働いている人専用の食堂が工場に隣接していた。
広い空間に背もたれのない長椅子と長机が並べられている。いくつかの丸い窓から差し込む陽光で、室内が照らされていた。
エワットの人たちはやはり何も話さない。
「ここでも会話しちゃダメなの?」
私が小さな声でコソッとオースティンに質問する。
「課業が終わるまでは私語厳禁ですね」
「……工場で働いた賃金は?」
「賃金は出ません。その代わり衣食住を提供しています。……決して長時間労働をさせているわけではありません。日が沈めば、課業は終わりです。夕食は配給制度。彼らに対する扱いが酷いと思うかもしれませんが、メグナドル国の税で彼らを養っているのです。民が汗水流して働き、納めた税で難民の生活を保障しているのです」
私はオースティンの話を聞いて、隙のない統制制度だなぁ、と心の中で呟く。
エワットたちを見ていると、肥満体系の人はいない。だけど、やつれている人もない。
病的な細さの人がいて、今にも倒れそうに労働を強いられているのなら問題なのかもしれないけれど、そうじゃないもんね……。
………………けど、もっと彼らをうまく利用できる気がする。
工場で働くだけじゃ勿体ない人はいるはずだもん。優秀な人材だけ摘出するとかできればいいのだけど……。
そうすれば、魔族との戦いによる深刻な人手不足をエワットで補えるかもしれない。
ただ、この完成された体制を崩すようなことはしたくないんだよね~~。
「それに、課業が終われば、会話はできます」
「今までその制度で問題は起きなかったの?」
私がそう聞くと、オースティンは黙り込んだ。
あ、あったんだ、問題。
「……過激派による反乱があった」
オースティンの代わりに王子が声を発した。
私は「わぁ」と気の抜けた声を出す。
「ボイコット運動ぐらいだと、今まで軽い罰で済んでいたが、反乱となれば話が変わる。武力をもって制圧させるしかない」
「……それでどうなったのですか?」
「過激派は、腕の立つ者が多く、彼らを抑え込むのには時間がかかった。……そして、監査員が一名命を落とした」
……受け入れた難民により、我が国民が死んだとなれば話は大きく変わってくる。
「過激派は全員極刑ですか?」
王子は私の言葉に「いや」と首を横に振った。
「この国のルールを守れないのなら、自国へと強制送還させた」
「浄化されていない国に戻るということは、実質疫病で苦しんで死ぬ……」
処刑よりも重い罪に思えた。
ルメア国は現在、人の住める場所ではない。
争乱によってルノドゥが大量に腐敗したまま。そこから立ち上った毒気は今のなお蔓延している。ルノドゥの毒気の対処を誰もしていない。
だから、人の生きられぬ死の大地と化し、ルメア国は滅びた。




