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ゴゴゴッと重低音を響かせながら、扉がゆっくりと開いていく。入る前から、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。
中から、随分とガタイの良い強面の男性が出てきた。顔には刃物で傷つけられたであろう傷がいくつか残っており、長い青髪を頭の後ろで一つにまとめて括っていた。
彼の腰には普段騎士が持つ剣より一回り大きな剣が吊るされていた。
第一印象は、強そう。素晴らしい筋肉。
彼は王子に深く頭を下げた後、手に持っていたフードのついたマントを王子に渡した。
「こちらを羽織ってください」
「ああ」
強面男性、かなり低音ボイス……。良い声……。
王子は強面男性からマントを受け取り、その場で着る。
第一王子が視察に来たなんて、エワットの人たちに知られちゃダメだもんね。狙われちゃう。
黒いマントを纏ってもなお、王子オーラは完全に消しきれていない……。王子はまずその内なる気品を壊すことからしないと、お忍びなんてできないよ。
「エワット特別自治区の副監査長、オースティン・リースです」
強面男性は私たちに名乗る。ミミは軽く頭を下げただけで、やはり声は発さない。ジェフリーも小さくお辞儀をして、自分の役職と名前を口にする。
「第一騎士団の副団長を務めているジェフリー・シルヴィです」
なんとも立派な弟よ。
最初に名乗っておくべきだったよ。この後に私はなんて自己紹介すればいいの?
王国騎士団に所属はしています。下っ端中の下っ端です。一応聖女という肩書はありますが、国民からの反感を買っています。……って?
自虐ネタにもほどがある。私と比べられる騎士団長補佐の弟も可哀想だよ。ごめんね、ジェフリー。
「あの、どうかしましたか?」
私が唸っていると、オースティンは不思議そうに私の方を見た。
オースティンは見た目こそ怖いものの、意外と口調が丁寧で穏やかだ。
これがギャップ! なかなか良いじゃん、オースティン!
レイとのギャップとは正反対。彼は可愛らしい見た目のくせして、ものすごい口が悪い。
「聖女のケイト・シルヴィです」
私は端的にそう伝えた。
その瞬間、オースティンの顔が曇った。どうやら、彼は聖女に対しての偏見持ちだったようだ。
全然良くないじゃん、オースティン……。




