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準備を終えたジェフリーとミミと共に馬車に乗る。
私とミミは隣に並び、私の前に王子、斜め前のジェフリー。顔面国宝が視界にずっと入って来るという座り方になってしまった。
正直、落ち着かないけれど、そんなことよりも私はエワット特別自治区に今から向かっているという胸が弾んでいた。
早く着かないかな~~~。
私は馬車の窓から外を眺める。
ルメア国の人々って確か、背が高い人が多いんだよね。身体的特徴について知っているのはそのぐらい。あ、後、カーリーヘアが女性には多いっていうのも文献に書いていたような……。
まぁ、それも今から確かめられるもんねッ!
「楽しそうだな」
「……これが、報酬ですから」
王子が私に声を掛ける。私は窓から王子へと視線を移した。
ずっとそんな目で私を見ていたのか、と恥ずかしくなるほど、その瞳は甘く優しかった。
「これが報酬とはな……」
殿下は少し顔を強張らせる。エワット特別自治区に対して、かなり警戒しているようだった。
「そんなに危険な場所なのですか? エワット特別自治区」
「閉鎖的な空間に隔離して、警備体制が整えているから危険ではないが、安全でもない」
普段王宮にいる王子が足を踏み入れる区域じゃないのは確かだ。
私は戦場慣れしているから別に何とも思わないけれど……。まぁ、でも王宮は王宮で殺伐としているか……。
「怖いのですか?」
私は素直に王子にそう聞いてしまった。一瞬、この場に沈黙が流れた後に「姉さん」とジェフリーの強い声が発せられた。
「何かあれば守りますよ」って言おうとしたけど、それは流石に失礼かと思って、だいぶ言葉を選んだつもりだったんだけど……。ジェフリーに睨まれちゃったよ。
「ああ、怖いさ」
王子が私をじっと見つめながら真剣な声でそう言った。一拍置いて、彼は言葉を加えた。
「君に危害が加えられることを恐れている」
「……私に危害、ですか?」
私は王子の言っていることに理解が追い付かず、思わず目をぱちくりさせてしまう。
私はまだ弱い。だけど、私より強い人間がこの世にいるとは思えない。
「民の中で『彼らにも自由を!』や『閉じ込めるなんて可哀想』などの声も上がる。それなのに、なぜ彼らを特別自治区から一切出さないと思う?」
私は少し考えて、王子と正面から視線を合わせて返答した。
「無秩序の難民の受け入れは、国を内側から壊してしまうから」




