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…………これ本当に書庫?
私の知っている書庫じゃない。
「では私はこれで」
侍女が私に丁寧にお辞儀をする。
「あの、これどうやって開くの?」
この場を去ろうとする侍女に私は慌てて話しかけた。侍女は立ち止まり、不思議そうに私を見た。一呼吸置いて、「殿下から頂いたものをお使いになれば良いのです」と声を発した。
私は手の中にある六角形の許可証を、見下ろした。
……これを?
「使い方は……」
…………あれ、どっかに行っちゃった。
私が頭を上げた時には、もう侍女はこの場にはいなかった。ミステリアスな雰囲気を纏う侍女だった。
三十代ぐらいだと思う。白髪と妙に落ち着いた表情が印象的だった。
王子のことばかり考えすぎていたせいで、王子が寄こした侍女をまともに見ることができなかった。
……今は侍女のことよりもこの扉を開ける方法を考えないと。
私は扉の前に仁王立ちし、「これが目に入らぬか~~」と一旦許可証を扉に見せつけた。
……………………チッ、何も起きないじゃない。
私は静まり返るその場でため息をつく。
「自力で探せってこと?」
気合いを入れて、私は扉をじっくり観察した。隅から隅まで見落としのないように見る。
いや~~~、にしても立派な扉。開かないところ以外は完璧なんだけどねぇ……。
暫く眺めていると、ふと右扉の中央に六角形の窪みがあることに気付いた。
「これって……」
私はまじまじとその窪みを見つめる。
――王家秘蔵書庫の立ち入り許可証と、まったく同じ形だ。
許可証そのももが鍵ってこと?
手に持っていた許可証をゆっくりと窪みにはめ込んだ。その瞬間、カチッと小さな音が響いた。
……あ、はまった。
少しして許可証に刻まれた王家の紋章が淡い金色に光を放ち始める。その光は扉に刻まれた紋章へと広がってく。扉の奥からガコン、ガコンっと何か巨大な仕掛けが動き出すような重い音が響いた。
幾重にも施されていた錠が順番に外されてっているんだ……。
この許可証と扉には相当手の込んだ魔法がかけられている。流石王家秘蔵書庫。誰も寄せ付けるつもりは一切ないみたい。
これほど厳重に守られた場所の中に、一体どんな知識が眠っているのだろう。
そう考えただけで、自然と胸が高鳴った。
ガッチャッと最後の仕掛けが解除された瞬間、光は静かに落ち着いた。
私は許可証を窪みから出し、大きく深呼吸をして『開け』と呟く。
……こんな大きな扉を腕力で開けれるわけない。きっと、ここに入る許可を与えられた人は全員魔力持ちだと思う。それか人間離れした怪力の持ち主ね。
私の言葉に反応して巨大な両扉が重々しい音を立てながら、観音開きに開く。扉の隙間から冷たい空気が流れ込み、その奥に広がる空間が少しずつ姿を現していく。
私は興奮を抑えきれず、気付けば王家秘蔵書庫に飛び込んでいた。




