第五十話
前回、 エーフィルからヴェイテルタの現状や『救済の灯』の情報を聞いた一行。
またその中で、 聖職者が使うという『祈祷』の原理についても聞いた。
一通り聞きたい事を聞いた一行は、 いよいよ本題に入るのだった。
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セフィエンゼの宿にて……
エーフィルの計らいで宿を用意してもらった一行は、 今後の計画について考えていた。
現在、 一行が持っている情報は大きく分けて三つ。
まず、 『救済の灯』のアジトは街外れにある廃教会であり、 正面からの侵入は不可能だという事。
しかし、 調査した結果、 セフィエンゼの旧地下水路の一つに廃教会の地下に繋がる通路が発見された。
教団員がその水路を使って集合、 及び連絡などを行っていると考えられている。
地下水路の見取り図はエーフィルから既に貰っており、 潜入する際はギルファルドが水路まで案内してくれる手筈となっている。
次に、 『救済の灯』のアジトには魔物の改造実験用の施設があるという事。
最近の報告で、 教団は魔物の改造にも手を掛けている事が判明した。
あくまで可能性の話だが、 アジト内に侵入した際に魔物とも接敵すると考えられている。
また、 エーフィルからの個人的な願いとして、 その実験に関する資料などが見つかった場合は、 全て残らず破壊してほしいと頼まれている。
そして最後は、 教団内には魔族が紛れ込んでいるという事。
この情報に関しては行方不明となった諜報員が最後に残した情報であり、 その戦力、 数、 能力などは一切不明。
ただ、 一つ言えるのは……
国崩九魔が関わっている可能性が非常に高いという事だ……
「それで、 お前の作戦は? 」
「とりあえずこれを使って信者の人に化けて潜入かなぁ」
そう言ってエインが取り出したのは青い砂のようなものが入った小瓶だった。
それは錬金術で作った変化の粉らしく、 化けたい対象の体の一部を一緒に混ぜて振りかけると変身できるという代物。
エインの作戦では、 まず水路から『救済の灯』に潜入した後、 教団の信者を捕らえてその者に化けるという。
そこからはエーフィルの依頼通り、 魔物の改造実験施設の破壊、 同時に教団の計画の阻止へ向かう。
普段から魔力を封じているエインであれば魔力による探知などでバレる心配はないだろう。
ただ、 問題はエインの演技力だ。
信者の一人に化けるにしてもなりきれるかは本人の演技次第。
三人は普段の彼女を思い出し、 とてつもなく心配になった。
……こいつ絶対ボロ出すぞ……
そう思いつつも、 他にいい案が思いつかなかった一行はその作戦を決行する事にした。
決行は翌日の深夜、 エイン以外の三人は騎士団と共に街の警備に回り、 『救済の灯』の信者が不審な動きを見せないか監視する。
もしもの時、 街の住人を守れるのは騎士団と三人だけという事だ。
そんな話をしていると
「夜分に失礼、 エイン様はいらっしゃいますか? 」
ギルファルドが宿を訪ねて来た。
何でも、 個人的にエインと二人きりで話をしたいそう。
何事かと思いつつも、 エインはギルファルドと共に夜の街に出た。
「夜分遅くに申し訳ありません……機会を失う前に、 個人的にどうしても話がしたくて……」
「大丈夫だよ♪ それで、 話したい事って? 」
ギルファルドはウレ―ラーフを通してエインの様子を見ている内に、 エインの行動に興味が湧いていた。
中でも、 立ち寄る町や村で手当たり次第に依頼を受けている事に疑問を抱いた。
さほど稼げる訳でもない依頼から、 今回のような無茶な依頼まで……路銀の為とは言え、 自分に利益が少ない依頼ばかり受けているように思える。
何故そんな事をしているのかと、 ギルファルドはエインに疑問を投げかけた。
「ん~……まぁ、 お金の為っていうのもあるけど……私はそれよりも、 目の前で困ってる人を放っておけなくてさ……」
昔、 右も左も分からず森の中を彷徨っていた時、 後の父親 シュラスと出会った。
父は何か見返りを求める事もせず、 自分に手を差し伸べてくれた。
一番最初に触れた父の手は、 とても温かく……とても優しかった。
そんな父の姿がまるで勇者のように見え、 憧れ、 旅人になった。
故に、 自分でも気づかない内に、 父の行動を真似しているのかもしれない……と、 エインは語った。
「それと、 どんなにちっぽけなモノに見えても、 深いところまで目を凝らせば新しい発見があるかも って……パパから教わったからっていうのもあるかな……私、 新しい発見が大好きなんだぁ♪」
「なるほど……エイン様はお父上を愛していらっしゃるのですね……」
「うん♪ 」
無邪気な笑顔を見せるエインに、 ギルファルドも思わず笑みが零れた。
……エーフィル様がこの方を気に入られたのも……何だか納得できる……
「……エイン様……依頼の件、 改めてどうかよろしくお願いします……」
「任せて……私は勇者じゃないけど、 困ってる人は必ず助けるから……」
そんな話をしながら、 二人は水のせせらぎが響く夜の街を散歩した。
…………
その頃、 とある廃教会にて……
フードを深く被った白装束の女性が一人の男に跪き、 エイン達が街に来た事を報告していた。
「如何なさいますか? 」
「……旅人エインは私が相手をします……あなた達は予定通りに進めて頂ければ結構です……」
報告を受けた男はそう言うと、 白装束の女性はその場から立ち去った。
不気味な静けさが漂う廃教会で、 男はステンドグラス越しに月を眺める。
そして、 不敵な笑みを浮かべ
「……いよいよです……久しぶりに心が躍りますね……」
そう呟いた……
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そして翌日の夜……
ギルファルドに旧地下水路への入り口へ案内してもらい、 エインは予定通り水路の内部へ侵入する。
「……では、 よろしくお願いします……エイン様」
「うん、 そっちもよろしくね♪ 」
そして、 彼女は見取り図を見ながら『救済の灯』の拠点を目指した。
まるで迷路のような水路の中を進む事数十分、 近くに何者かの気配を感じた。
エインはすぐに姿を隠し、 近付いてくる者を待ち伏せした。
そして……
「……ッ! 」
エインは近付いてきた者を音も無く暗がりに引きずり込んで気絶させた。
彼女の元に接近してきたのは予想通り、 『救済の灯』の信者であった。
……えっと……まずは服を取って……髪の毛を一本だけ……
早速信者の身ぐるみを剥ぎ、 変化の粉に髪を入れる。
そして粉を自分に振りかけると、 信者の姿に変わった。
変身した後、 水路を少し進んでいくと……
「……ここが『救済の灯』のアジトかぁ」
いつの時代かは不明だが、 遺跡のような空間に出た。
壁には怪しげな紋章が刻まれた旗が下げられており、 青白い光を放つランタンが周囲を怪しく照らしている。
そこに多くの信者思しき者達が行き交っているのを見るに、 ほぼ間違いなく『救済の灯』の拠点だろう。
エインは早速拠点内を探索し、 魔物の改造実験を行っている施設を探す。
すると、 突然背後から声を掛けられた。
振り向くとそこには一人の信者がいた。
よく見ると、 黒装束のフードの中から蛇のような赤い瞳がこちらを見ている。
魔族だ。
「お前……生物改造部の者だな……こんな所で何をしている……」
相手はエインの変装には気付いていない様子。
その様子を見た彼女は場所をど忘れした体で、 上手い事実験施設の場所を聞き出す事にした。
しかし、 極端に魔族との会話を嫌う彼女は自然な演技が出来ず、 凄く怪しまれた。
そんなピンチがありつつも聞き出す事は成功し、 彼女は無事実験施設へと辿り着いた。
施設には怪しげな魔法陣が描かれた祭壇を中心に、 謎の黒い水晶が囲んでいる設備が佇んでいる。
恐らく、 その祭壇が魔物の改造を行うためのモノなのだろう。
エインはその周辺にあった書物をこっそり読み漁る。
……他生物と魔族の混血実験……多分これだ……
資料の中からそれっぽいモノを見つけ、 彼女は詳しく調べる。
それで分かった事は二つ。
まず、 ヴェイテルタに入ってから目撃された未知の魔物は改造実験で作り出された魔物だというのは間違いないという事。
あの魔物達は普通の動物だったモノに魔族の血を混ぜ合わせ、 身体の構造を変異させて作られたそう。
ベリスタで討伐した厄災魔獣 レオウスは、 その実験の中で大元の種子の一部と魔族の血と普通の草花を混合して創られた模造種だったそう。
教団は魔物の改造実験と並行して厄災魔獣の兵器利用を考えているようだった。
そして、 その混合実験に使われている魔族の血が……
「……アンス……」
その名を見たエインは表情が凍り付いた。
『アンス』……それは国崩九魔の一人、 ミドガに次ぐ第二席。
暗示するのは
『争いの恐怖』
歴史上では、 その魔族は古来より人々を争いに仕向け、 内戦で国を滅ぼすと記されている。
最後に討伐されたのは千年以上前、 それ以来歴史上に現れた事はない。
先代はリエルデとベリスタが建国されるよりもずっと昔、 大陸中央に位置していたという大国で内戦を勃発させ、 地図からその姿を消すまでに至らしめたとされている。
故にその魔族に目を付けられたが最後、 その国は争いの道を歩み、 必ず滅ぶと言われている。
また、 アンスは殺した者の記憶を読み取り、 その中にある武器や魔道具を現物として複製し、 操る事が出来る力を持つと伝えられている。
……あのお姉さんが予想してた通り、 国崩九魔が関わってたんだ……アンス……確かパパが言うには『一番人間を理解している魔族』だったかな……
無数とも言える種類の武器と魔道具を扱う相手、 油断ならない相手なのは確実だ。
そうして、 教団の首謀者が誰なのかはこれで確定した。
情報を手に入れたエインは資料を全て燃やし、 続いて祭壇の破壊に取りかかろうとする。
しかし……
……あれ……この祭壇、 もう機能してない……
祭壇からは魔力が一切感じられなかったのだ。
ただ、 この祭壇が魔物の改造に使われていたのは確実。
だとすれば、 考えられるのは……
「……準備が終わった……ってこと? 」
考えうる最悪の事態が頭に浮かんだエインは急いで外に報告しに向かおうとする。
その時、 突然彼女の視界に映る部屋の景色が変わった。
先程の薄暗い遺跡のような壁に囲まれた部屋とは打って変わり、 古めかしくも白塗りで美しい装飾が施されている聖堂のような部屋だ。
天井には神話の絵画のようなモノが描かれている天窓があり、 そこから月明かりが辺りを薄暗く照らしている。
……転移の魔法……それも発動が凄く速い……これって多分魔法具の力だよね……
突然の状況に対し冷静に辺りを見渡して把握するエイン。
すると、 その視界に一つの人影が写る。
「……ようこそ、 旅人 エイン様……お待ちしていましたよ……」
声からして男だろう。
その人影はそう言いながらエインの元に歩み寄る。
そして、 月明かりが射す天窓の真下に来た時、 その姿を現した。
月光に照らされ怪しく煌めく白い髪、 エーフィルの物と似た美しい白の衣装。
シルクのような白い肌は女性のような色気を感じさせる。
極めつけは、 掛けている眼鏡の奥で不気味に光る蛇のような赤い瞳。
間違いない、 彼こそが国崩九魔の一人、 アンスである。
エインは変化の魔法を解き、 空かさず剣を抜こうとする。
しかし、 それを見たアンスは軽く両手を上げ、 戦う意思は無い事を示す。
「まぁそう慌てずに……少しお話しでもしましょう……」
そう言うアンスに警戒しつつも、 どうしても知りたい事があるエインは、 なぜ自分を知っているのかと質問を投げかける。
「国崩九魔である私達は、 力と共に魂が繋がっているんです……なので他の国崩九魔が見たものも聞いたものも……そして何故死んだのかも、 全て分かります……」
故に、 今や国崩九魔でエインの事を知らぬ者は居ないと言う。
それはすなわち、 アンスはエインの戦闘能力を既に知っているという事。
話を聞いたエインは更に警戒を強める様子を見せつつも、 質問を続ける。
「どうしてこの国を狙ったの……」
「この国を狙ったのは単に目に映ったからですよ……リエルデのような大国から援軍が来づらい地形に存在しているヴェイテルタは、 私にとって格好の的でしたので……」
「どうして普通の人達も受け入れて教団なんて作ったの? ……魔族は人間とは相容れない存在だと思ってたんだけど……」
その質問を聞いたアンスは今までになく高揚したような笑顔を見せる。
「私は……人間の争う姿を見たいのです……! 」
人間は同じ種族でありながら違う思想や価値観を持つ。
そしてそれらが衝突した時、 簡単に同族同士での争いが起きる。
アンスはそんな人間の性質が好きだという。
彼は面白がっているのだ、 他生物よりも知性ある人間が、 ちょっとした動機さえ与えてしまえばすぐに同族同士で醜い争いをする……その姿を見て……
「更に言えば女子供といった弱者が争いの戦火に巻き込まれ死にゆく姿は特に……特に愛おしい……! 」
もはや性的興奮さえしているかのようなアンスの姿を見て、 エインは吐き気を催す。
しばらくして、 アンスは気を取り直して話を続ける。
「とまぁ……私の目的はそんなところです……ですが、 私は彼らの精神性や思考性には何も手を加えてはいませんよ……それではつまらないですから……私はあくまで彼らに『機会』を与えただけです……」
「……教団の魔物を改造する計画も……内戦を起こそうとしてるのも……全部ここの人達の意思だって言いたいの? 」
アンスは微笑みながら頷く。
人間とは生きていれば世の中に不満の一つや二つも抱くもの、 多かれ少なかれ、 不満を満たす為に『世の中を壊してやりたい』……そう思う者は必ずいる。
彼はそんな人間を集め、 彼らの不満を満たすための『力』と『機会』を与えてやっただけという。
一つ予想外だったとすれば、 彼らが次第に自身の行いを『正義』だとか何とか言い出して正当化し始め、 その思想が膨れ上がって宗教にまで発展した事だ。
「『正義』の『せ』の字も分からない愚者達が勝手に騒いでる姿は何とも滑稽ですよ……まぁ、 私が手を出さなくとも勝手に内戦まで発展させてくれたのは手間が省けましたが……」
「……内戦なんて起こさせないよ……ここであなたを倒して、 教団の人達はみんな捕まえる……」
「あなた達の計画は既に知っていましたよ……その上で待っていたのです、 一番の障害となるあなたがここに来るまで……研究室の状態を見たならもうお察しでしょう……」
私達の準備は……既に終わっている……
アンスがそう言った次の瞬間、 聖堂の窓から光が射し込む。
目を向けるとそこには炎が燃え盛り、 煙が上がっているセフィエンゼが見えた。
二人がいるのはセフィエンゼから少し離れた森の中、 忘れ去られた廃教会。
そこからだと戦火に燃えるセフィエンゼがよく見え、 特等席だとアンスは言った。
……あぁ~……やっぱり駄目だなぁ……どうも魔族といると……
冷静じゃいられなくなっちゃうなぁ……
燃える街を見たのを皮切りに、 エインは目にも留まらぬ速さでアンスに斬りかかった。
しかし、 彼女の行動を読んでいた彼は周囲に何本もの剣を出現させ、 防御しつつ距離を取った。
そして相変わらずの不敵な笑みを浮かべながら、 彼は眼鏡を取る。
「さて……私達も始めるとしましょうか……存分に楽しみましょう! 」
次の瞬間、 エインの視界は無数の剣や槍などの武器で埋め尽くされる。
そしてその武器達は巨大な竜巻を作るかのように飛び回り、 聖堂の天窓を突き破った。
エインは飛んでくる武器を弾き受け流しつつ天窓から外に飛び出し、 竜巻から抜け出す。
アンスは竜巻の中央で下から彼女を見上げ、 笑みを浮かべている。
……これがアンスの力かぁ……今まで殺してきた人達の記憶にある武器を呼び出してる……
「こりゃ一筋縄じゃ行かないなぁ……皆……信じてるよ……」
街の襲撃の方はガルン、 ウル、 カミツグに任せ、 エインは目の前のアンスに集中する事にした。
…………
その頃、 街に残った三人は国の騎士団と共に『救済の灯』の襲撃の対処を行っていた。
ただ、 街には見たことも無い魔物ばかりが暴れ回っており、 それぞれどのような能力を持っているのか不明な為、 騎士団は討伐に苦戦している。
そんな中でも三人は、 日々幾多もの魔物との戦闘で慣れていた為、 初見の相手にも苦戦する様子は無かった。
ガルンは接近してくる小型の魔物達を一掃し、 カミツグは中型で力が強い魔物を一体ずつ討伐していく。
ウルはそんな二人を不意打ちから守るように魔法で援護し、 接近してくる魔物には罠を張り巡らせ対応する。
……ったく、 内戦が起きるとか言った矢先にこれかよ……まさか俺らが来るタイミングを見計らってたのかぁ?
だとすれば内通者がいたのではとウルは考える。
その時、 彼女の中でレイファの顔が過る。
「……やっぱあの女だよなぁ」
そんな事を呟きつつ、 彼女は戦闘に集中する。
事態に騎士団が対処する中、 エーフィルを含めたミュルーラ教の聖職者達は一般市民を大聖堂に避難させていた。
すると、 魔物の群れに混じって教団の者達が大聖堂に目掛けて襲撃して来た。
その中には魔族の姿もあった。
それを見た市民達は慌てて大聖堂に逃げ込もうとし、 大混乱が発生した。
事態を収拾しつつ避難を急がせようとするが間に合いそうもなく、 これまでかと思われたその時だった。
「……やっぱこうなるかぁ……一応警戒しておいて正解だった」
気怠そうな声と同時に、 いくつもの水の塊が弾丸の如き速さで教団の軍勢に飛んで行く。
水の塊は一瞬にして魔物や魔族の頭を貫いていき、 それを見た教団の軍勢はその場から退いた。
水をまるで手足のように自在に操る……そんな事ができるのはこの国ではただ一人。
エーフィルである。
彼女は大聖堂に集まる民間人を守るため、 自ら戦場に赴いたのだ。
「え……エーフィル様! 」
「えっと……その咥えてる物は……」
「た……煙草……? 」
「聖女が煙草って……」
煙管を咥えたエーフィルを見た人々はざわつく。
しかし、 彼女はそんなのはお構いなしに声を張り上げる。
「うっさいねぇ! 今はそんな事気にしてる場合じゃないだろうが! 」
『えぇ……』
今まで淑やかな態度で国民と向き合っていたエーフィル。
しかし争いが始まり、 演技をしている場合ではないと判断した彼女は避難と防衛を優先とし、 国民の前で本性をさらけ出す事に決めたのだ。
……『ただの旅人』のお嬢ちゃんは……アタシの無茶な依頼に嫌な顔一つせず受けてくれたんだ……アタシも何か腹を括らなきゃ恥ってモンだ……
「さぁて……ここにいる騎士どもは民間人の避難誘導、 聖職者は怪我人の手当! さっさと動きなぁッ! 」
「陛下……私は防衛に当たる者達の援護に向かいます……」
「あぁ、 こっちは任せなぁ……」
こうして、 戦いの火蓋は切られた……
続く……




