ヒドイやつらもいるもんだ 後編
あらすじ
「話を聞く」仕事を始めたリンスだったが・・・
噂は瞬く間に広まった。
なんでも言える"ロバの耳"として。
リンスは客の話をただただ聞き続け、まれに相槌を打つ「人によっては楽な仕事」をこなしていた。
このまま収入を得続けられたら「危険とは無縁な生活」が送れるのだろうが、本作のタイトルが"珍道中"である以上そろそろ大きなイベントが始まるのだ。
ことの発端は客の一人が放った一言である。
「私、実は 近年騒がれている差別問題について活動しているんです。」
「はあ・・・ それはまたご立派で。 で、差別というとどういった?」
「はい。 人間の動物に対する差別です。」
ついに来てしまった。
リンスは"動物差別をなくさなければ犯罪者となってしまう"ので、この客の言う活動に首を突っ込まなければいけないのだ。
リンスは今、猛烈に後悔していた。
わかっていた。
昨日の時点で、権利がどうこう言うような人が客であったのだ。
いつかこのテの話が来るのは予測できたはずだ。
・・・と、そんな背景など知らずに客は話し続ける。
「あなたも魔女という"弱者"である以上、同じ弱者の気持ちがわかるはずです。」
なんてことだ。アタシは弱者だったのか!
「我々アルバトロス産業はそんな弱者を救済すべく! ラフ・ヤード計画を立ち上げたのです!」
ん? 何か聞き覚えのある単語が・・・ でも、何だっけ?
「あなたも協力してくれませんか!? この活動に!」
「ええ・・・ あの、勧誘とかは・・・うち・・・」
「何ですか!? あなた、かわいそうだと思わないんですか!?」
「ですから・・・勧誘とかは・・・」
「勧誘ではありません! かわいそうな弱者を救うという"正義"の行いです!」
「手を差し伸べるのです! 私たちのように幸せになれるよう!」
「虐げられてきた弱者に希望を与えるのです!」
「ふざけんなああああああああああああ!!!!!!!」
ワン公が叫んだ。
「ひえっ!?」
突然の展開に客は話を止め、苦笑いを浮かべた。
「黙って聞いてりゃ弱者弱者と! 人を勝手に決めつけやがって!」
ワン公は牙をむき出しにし、"正義"に迫っていった。
「ですから! 我々はあなた達のような人の為に・・・」
「うぉぁああああああ!!!!」
「うわぁっ 勘弁しろよ!」
客は逃げて行った。
「ああいう差別主義者が正義である以上、差別なんかなくなるわけねえんだ。」
「・・・」
「俺達がかわいそうだと? ふざけんじゃねえ。」
「勝手な"常識"を押し付けやがって・・・」
「・・・落ち着きなさい。」
「・・・すまん リンス。 ・・・その、一つ頼みがあるんだが。」
「いいわよ。」
「これは動物の代表とかそんなんじゃない、"俺"個人からの頼みだ。」
「さっきの奴ら、ぶっ壊してくれ。」
「・・・まかせて。」
二人は静かな怒りに燃えていた。
何かの代表ではない、リンスとワン公二人の怒りで燃えていた。
つづく




