ヒドイやつらもいるもんだ 前編
キャラクター
・リンス:本作の主人公で魔女。差別をなくすために旅をしている。
・ワン公:リンスのお供で犬。会話ができる。
・パンプキンパンツ:自称「美少女怪盗」のイタいやつ。
======================================================================
あらすじ
リンスは、パンプキンパンツと別れ、街に繰り出しました。
「悪人の敵が正義だとは思わないことね」
リンスたちの去り際、パンプキンパンツはそう言い残した。
彼女なりに言いたいことはあるのだろうが、リンスにとっては関係ない話だった。
ぐうぅぅぅぅぅ・・・
町に繰り立った二人に空腹が襲い掛かる。
当然である。カジノで所持金を全額溶かしてから早3日。その間、食事と呼べるものはなかった。
意識のない時間こそあれど、それなりに脳ミソを使ったこの期間で、彼女らはエネルギーを消費しきっていた。
「な・・・なにか食わせろ・・・」
「おなか・・・すいた・・・」
[働かざる者食うべからず]という言葉があるが、まさに今、二人はそれを体現していた。
そもそも、すべての原因は[手持ち不如意]からなるものであるため、金さえあればお腹の閑古鳥も黙るはずである。
二人は働くことにした。
・・・といっても、仕事なんかは簡単には見つからないものである。
根無し草のじゃりン娘と犬。
それも、世間的に嫌われ者である"魔法使い"の服を好き好んで着ている変人。
"真っ当な所"は雇わない、いわく付き物件であった。
ちなみに、本作は全年齢対象のため、"夜の街でエキセントリックに荒稼ぎをするリンス"という展開になることはない。
なら、残った道は"自営業"である。
他にもあるかもしれないが、所詮14歳と犬の脳ミソで思いつくのはその程度である。
リンスたちは占い師をやってみることにした。
しかし、リンスに占いの知識はなかった。
・・・どうせ日銭稼ぎなので、適当に求められている答えを言ってあげることにした。
値段は二人の食事一回分。
ギリギリ諦めのつく金額である。
しかし、理想通りにはいかなかった。
見るからに素人。それに設備らしきものもない。
若い女の子との会話代と考えても、人目に付きすぎる立地。
面倒な輩が何人か来たが、自分勝手なリンスが"お客様は神様"精神を持っているはずもなく・・・
=====================パターン1=====================
「僕は占いなんて信じていない。」
「さいですか。」
「君の言うことは全てデタラメだ。」
「よくご存じで。」
=====================パターン2=====================
「アンタ、自分のことカワイイと思ってるでしょ?」
「ええ もちろん。」
「クスクス・・・ 自意識過剰にも程があるでしょ」
「ええ そうですね。」
=====================パターン3=====================
「貴方は"女"を売り物にしている!恥じなさい!」
「・・・そうですか。」
「"犬"にだって人権があるのに、奴隷扱いして!」
「ですね。」
・・・といった、クソみたいな塩対応をかましていた。
だがこれが、意外な需要にこたえていた。
言葉の暴力用の"殴られ屋"。
全く反論をしない(空腹で頭が回らない)ため、鬱憤晴らしには最適であった。
そして、このテの輩は恥もクソもないので、最悪な立地も関係なかった。
嫌われ者。つまり"悪人"に好き放題言える。
金さえもらえればいいリンスにとって、この需要と供給は幸運であった。
マトモな人間なら病むだろうが、今のリンスに病めるだけの余裕はなかった。
こうして、数食分の食費を稼いだリンスたちは、数日ぶりのマトモな食事を楽しんだ。
「・・・リンス。」
「なに?」
「その・・・なんだ。 お前は実際カワイイ。気を落とすなよ。」
「そりゃそうよ。 アナタの美的感覚は調整済みだもの。」
「へ?」
「冗談よ。 ・・・ありがと。」
脳みそが生き返った今、今回みたいなことはもうできない。
明日はまともな客以外追い返そう。
リンスはそう決心して眠りについた。
つづく




