夢でまた逢えたら
あらすじ
謎の喋れない女の子をかくまうことになった私だったが・・・
バンッ!
突然玄関のドアが開き、謎の男たちが入れ込んできた。
私はとっさに彼女を部屋に隠した。
「回収に来た。彼女を渡せ。」
男たちはそういうと、ずかずかと部屋に入ってきたが、そこに彼女の姿はなかった。
「外れだ。失礼した。」
安全を確認した私が部屋に入ると、ベッドの隅で小刻みに震えている彼女の姿があった。
その顔にはうっすらと涙が浮かんでおり、恐怖から解放されたことを未だ受け入れられていない様子だった。
私は安全を伝え、より安心させるために食事を振る舞うことにした。
床に大量の料理が並べられたのを見て、彼女の顔は和らいでいた。
それを見て、私の顔も和らいだ。
「さあ、好きなものを食べて!」
彼女は少し困惑した表情を見せた。
もしかして知らない料理でもあるのかな?
彼女はピザトーストを持って、私に視線を向けてくる。
うん。普通はここで私が食べて安心させるべきなんだろうけど、私はこのピザトーストが苦手なのだ。
私が複雑な表情を浮かべていると、彼女はクスっと笑ってピザトーストを口に放り込んだ。
・・・知ってるじゃん。
私は不満顔になっているだろうが、彼女は笑っているからまあいいか。
ほんわかした雰囲気は突然壊された。
さっきの男たちがまたも玄関から入ってきたのだ!
恐怖で震え上がる彼女!
彼女を守ろうと、男たちに立ち向かう私!
そして、アタシは夢から覚めた。
目の前に見慣れない天井が広がっている。
・・・彼女の名前が思い出せない。
確かに知っていたはずなのに、名前がわからない。
顔も忘れてしまった。
好きだったという感情は覚えているが、それ以外を忘れてしまった。
あれ、なんで喋れないんだっけ?
あそこは確かにアタシの家だったけど、微妙に違っていた。
・・・あのあと彼女はどうなってしまうのか?
「どうした?リンス。」
「ねえ、例えばだけど・・・夢っていうのが、アタシの脳みそが見せてるものじゃないとしたら・・・平行宇宙のアタシに乗り移ってるんだとしたらどうする?」
「・・・なんだって?」
ワン公は突然の戯言に困惑していた。
「平行宇宙のアタシ。"リンス"って名前じゃないかもしれないし、友好関係も違っているアタシ。
夢っていうのが、そんなアタシに乗り移ってることなんだとしたら納得いくのよ。
起きた後何も思い出せないのは、その"平行宇宙のアタシ"の脳みそを使っているからなの。彼女の知識を使っているから、向こうでは色々知っているの。
自分が絶対しないようなことをするのは、それが別人だから。
ストレスなりなんなりで夢が変わるのは、その時の"アタシの脳みそ"と近い状態の脳みそを持っている"アタシ"に乗り移るからだとしたら・・・
どう!?」
「・・・その理屈なら、平行世界の俺は映画スターとドンパチして殺されたんだが。」
「それもいい最期じゃない。
そうだ!二度寝すれば同じ夢を見やすいのは、まだ"そのアタシ"との接続が切れきってないからなのよ!」
「そうかそうか。おやすみ。」
「・・・いや、起きましょう。 いつか誰かが"アタシ"に乗り移った時のために、楽しい人生にしとかなきゃ!」
「そうかそうか。俺はこいつを見張ってたから寝不足なんだ。 おやすみ。」
ワン公は眠りについた。
がんばれ、あの世界のアタシ。
あれからどうするのかはわからないが、アタシよりイケてるアナタならなんとかするでしょう。
そんなことを考えながらベッドに座ったリンスは、これからどうしようかとパンプキンパンツに目を落とした。
つづく




