ギャンブラー・リンス
前回のあらすじ
不意に大金を手に入れてしまったリンスたち。
二人は空想の悪の組織に怯えていた。
「大金がすぐに溶ける場所・・・やっぱここよね。」
「カジノだ? こういう場所こそ奴らのシマなんじゃねえのか?」
「なら正直に渡せばいいのよ。 誠意を込めて謝ればきっと許してくれるわ!」
「そうだな! ピザ代くらいは大目に見てくれるだろうしな!」
意気揚々とカジノに到着した二人だったが、
「当店はドレスコードが必須ですので。」
と、門前払いを食らってしまった。
当然である。
魔法使い自体警戒されるのに、コスプレしたガキと犬である。
こんな変人を受け入れるほどカジュアルな店ではなかった。
二人は身なりを整えることにした。
金は人を狂わすと言うが、実際二人の金銭感覚は無残にボロボロにされていた。
無駄に高い服。無駄に高いメイク。無駄に高級エステなんかにも寄った二人は、謎の専門用語と極上のサービスを思う存分堪能した。
女は化粧で変わると言わんばかりに別人のように変身した二人は、難なくカジノに入店できた。
有り金全額をチップにし、二人は夜空を見つめていた。
「ついに来ちまったな。 もう後戻りはできねえぞ。」
「ふふふ・・・どうするよ勝っちゃったら・・・」
「ノシつけて返した上に、資金洗浄まで済ませたって言ったら・・・」
「アタシも一躍、闇の世界の重役よ・・・猫を撫でるのよ・・・!」
「にゃんこが待ってるわ・・・!うふふふふ・・・!!」
ワン公は、目を離した隙に酒でも飲んだかと疑ったが、この金を手放せるなら何でもいいやと思った。
「そろそろ決着を付けに行こう。」
「そうね。 ギャンブラーとしての才能が開花するのを見てなさい!」
リンスはカードの席に座った。何のゲームかは知らないが、直感がここだ!と告げたらしい。
ワン公にチップを台に置かせて、リンスは映画で見たように指でトントンと鳴らした。
周りの客はどよめき、ディーラーは困惑した表情で質問をする。
「お嬢ちゃん? ホントにいいのかい? 負けたらバニーガールになっちゃうよ?」
リンスは何を言っているのか全くわからなかったが、これが"心理戦"ってやつだと理解し、不敵な笑みを浮かべてこうつぶやいた。
「女も度胸よ・・・!」
カックイイ台詞を吐くと、カードが配られた。
リンスは負けた。二倍付で負けた。有り金全額溶かした上に借金まで作った。
「はーい、お嬢ちゃん。ウサちゃんになる時間だよ。」
いつの間にか後ろにいた大柄な男たちにガッシリと捕まれ、リンスはワンワン泣きながら"裏"まで引きずられていった。
少し経つと、リンスが帰ってきた。
・・・モフモフの着ぐるみに入った状態で帰ってきた。
「きゃー!かーあいー!!」
「思てたのと違うんだけど!?」
はしゃぐ店員たちは笑顔でリンスに説明した。
「あはは! お嬢ちゃんみたいな年の子に過激な衣装を着せるわけないじゃないか!」
「似合ってるぞー!」
「ひゅー!ひゅー!」
リンスは、実はそれ程負けたわけではなかった借金分、しっかりウサちゃんとして酔っ払いの相手をしていた。
・・・童心に帰りたい者たちと記念撮影とかをして。
つづく




