第44話 辛かったよね
城楽から帰る途中に宮廷が直ったらしく、俺たちは宮廷に戻った。
帰るまで、八子のことを隠すのに必死だった。
まだビンタの痛みが残っている気がする。
2日前のことのはずなのに。
「(雅道さん、舞子様も幽閉をしたくてした訳じゃないですから)」
違う。
そのことはどうでもいい。
「(…………違います)」
「(じゃあ、何があったのですか?)」
「(…………言えません)」
いくら、安良子さんといえど、八子のことは言えない。
「雅道、誰と喋っているの?」
「(和子さん…………!!このことはどうか…………)」
「(安良子じゃない。雅道の部屋で何してるのよ)」
和子さんは何かを察したように、声のボリュームを下げた。
「(雅道さんが元気がないので…………)」
「(そうだったのね。舞子様も誰も入れてくれないのよ。安良子は何か知らない?)」
「(分からないです…………。帰る途中、一言も発しておりませんでした)」
「(そう…………。雅道は?)」
「(…………分からないです)」
そう言うしか、他ならない。
「(うーん…………。どうしようかしら)」
和子さんはこっそり部屋を出ていった。
「(雅道さん、裏に行きましょう)」
安良子さんは俺の腕を引っ張って、屏風の裏に連れて行った。
押しこむ力が少し強かった気がする。
「(雅道さん、本当に何があったのですか?)」
「(…………言えません)」
繰り返しでもそう言うしかない。
「(お願いです!!雅道さんが落ち込んでいる様子を見たくないのです!!)」
安良子さんは、二の腕を強く持って、少し揺すった。
涙目だ。
「(…………絶対に誰にも言わないですか?)」
「(もちろんです。そんなこといたしません)」
「(…………幽閉を解かれたあと——)」
八子に関してのことを話した。
言うか迷った瞬間もあった。
けど、安良子さんを信じて全部話した。
「(…………そうだったのですね。てことは、舞子様も?)」
「(……多分、そうだと思います)」
「(お辛かったですよね…………)」
安良子さんの体の方へ持っていかれた。
舞子と同じ安心感があった。
離れようとしたけど、体が言うことを聞かない。
「(私はいつでも雅道さんの味方です。いつでも頼ってください)」




