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安良子の表と裏-一族の繁栄と政治闘争、その陰で交錯する人々-  作者: 綿ダッコ
第4章〜儀式〜

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第26話 一緒に準備しよ!!

 辞職事件から、数週間経った。


 その間、色んな意味で何も無かった。


 ただ、今日は治輔が居た。


 治輔が来ると、上級女房達がざわつきだす。


 …………まぁ、理由は見たらすぐ分かるんですけどね。


「舞子姉さま、帝天様から二日後に行幸すると、伝令が…………。準備できますでしょうか?」


 急すぎんか…………?


 行幸ともなれば、大掛かりになるはずだ。


「大丈夫よ。道具の準備は済ませているから」


 そういえば、一子が産まれてから蔵に出入りする人が増えてたな。


「でも、大掛かりですよ…………?」


「じゃあ、私も準備に入ろうかしら」


「「「「「え?」」」」」


 その場に居る全員が、動きを止めた。


 もはや、上級女房達も治輔を見ていない。


「だって、大掛かりなんでしょう?私も入った方が、人手が増えるじゃない」


「いやいや、姉さまはまだ安静にしておいた方が…………」


「何言ってるのよ。私はこんなにも元気なのよ?」


「そういう問題じゃ…………」


 流石にそれは…………。


 というか、止める理由ってそこで合ってるん?


「いいでしょ?何かあったら、雅道が居るんだから」


 俺!?


「…………分かりましたよ。ただ、私も側で動きますからね」


 治輔さーん!!


 折れないでよ…………。


「じゃあ、全員呼んできますね」


 待っている間、舞子は体を揺らしていた。


 数週間前までは、どこか辛そうな雰囲気があった。


 立ち直ったの…………?


◇ ◇ ◇ ◇


「じゃあ、振り分けをするわね。あなたたちは——」


 男性らは蔵から執務室に物を持っていく。


 女性らは執務室で配置していくらしい。


 舞子も配置を手伝うんやろうな。


「…………舞子様、どちらへ?」


 そう思って歩いていると、執務室を通り過ぎた。


「どこへって、蔵に行くのよ?」


 …………はい?


 そんな「当たり前じゃん」みたいな顔で聞き返さないで?


「舞子姉さま、何を言っているんですか!?」


 そりゃあ、そうだ。


 止めるに決まっている。


「執務室に人がたくさん居てもしょうがないじゃない。それなら、人手がいる蔵の方がいいでしょう?」


 そうやけどさ…………。


「そうですけど、まだ一子様のご出産から四十日ほどしか経っていないんですよ?」


「十分じゃない」


 十分じゃないが…………?


「舞子姉さま!!」


「いいから、行くわよ」


 流れるまま、蔵に着いた。


 蔵にいた男性らは、全員驚いた様子だった。


 そりゃあ、そうだよね。


「舞子様、ご無理なさらず!!」「舞子様、これは私たちが持っていきます」


 俺らも含めて、舞子が重いものを持とうとするのを、手伝おうとした。


 けど、舞子はことごとく拒否をした。


 あくまで、自分で持って行くらしい。


「舞子姉さま、せめて雅道とお持ちください」


「…………分かったわよ」


 舞子は不服そうに、頬を膨らませながらようやく承諾した。


 机の片方を持って、舞子の歩幅に合わせる。


挿絵(By みてみん)


「舞子様、運びますよ!!」


 俺を含め、運んでいる最中も色々な人が、変わろうとしていた。


「いいの。私も、雅道みたいに強くならなくちゃ」


 そう言って、舞子は笑っていた。


 俺を基準にします…………?


 巳之助さんの方が、力は強いと思うんですけど…………。


「ふう。これで、雅道に一歩近づけたかしら」


 舞子は、今日一番の笑顔を見せた。

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